日本、周回遅れの株主資本主義へまっしぐら。貧困と株高の共存

猫まっしぐらならぬ、株主資本主義まっしぐらというのが、日本企業の経営に関する考え方となっています。それを物語る一つの証拠は、経営者の報酬がやたらと増えていることです。
2022年、世界の5か国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ)の中で、経営者の報酬が伸びたのはダントツで日本でした。
株主への配当が増える、自社株買いが増える、経営者の報酬ばかりが増える、この3点セットが株主資本主義の特徴です。
そのうちの1つが見事に達成されているというわけなのです。
経営トップの報酬、日本が伸びる
上記5か国の中で、売上高が1兆円以上の企業の経営トップの2022年の報酬が2021年と比べてどうなったかを比べた結果が以下となります。
日本 33%増↑
アメリカ 8%減↓
イギリス 5%増↑
フランス 13%増↑
ドイツ 16%減↓
5か国の中でもっとも経営トップの報酬の伸びが大きくなっているのが日本です。
この傾向は2000年代に入って顕著であり、利益が増えて株主への配当や役員への報酬は増えても、従業員の給与は減るというのがお決まりのパターンです。

(出所:財務省)
絶対額で比べると違った景色が見えてくる
もっとも、日本は経営者と従業員の給与格差が小さいことが特徴でしたし、今もなおその傾向は続いています。
伸び率はともかくとして、上記5か国の巨大企業における経営トップの国別の報酬額の中央値は以下のようになっています。
日本 2億7千万円
アメリカ 17億6千万円
イギリス 7億8千万円
フランス 7億4千万円
ドイツ 7億6千万円
日本はまだまだ株主資本主義が発展途上であり、ハゲタカ投資家には魅力的な市場に見えるようです。
災害立国という特徴
この点に関し、経済評論家の三橋貴明さんが興味深い示唆を与えてくれています。
日本は災害立国であり、いざというときは助け合わなければ生きていきません。
社会が搾取する側と搾取される側に分断されれば、災害時に搾取されている側は搾取する側を助けないでしょう。
略奪や暴動、暴行などが見境なく起きることが予想されます。
日本が災害時にも比較的落ち着いており、民度が高くて助け合いの精神を発揮するのは、人々の間に極端な格差がないためであろうと考えられます。
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中間層没落中
以下は日本における中流意識の推移です。

(出所:社会実情データ図録)
昨今、「上」「中の上」が徐々に増えている反面、「中の中」が減り、「中の下」「下」が増えていることがわかります。
格差が広がっているということです。
下の底上げによる分厚い中間層の復活が望まれるところです。
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