金融庁、運用会社に注文を付ける。2023事務年度金融行政方針

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金融庁は、2023年8月29日に2023年度(2023年7月~2024年6月)の金融行政方針を発表しました。

そこには岸田政権が進めている金融所得倍増プランに則った、資産運用に関する環境整備を進める旨が記載されています。

今後、資産運用を取り巻く環境はどのように変化していくのでしょうか。






イメージも時代時代で変わる


一般的なイメージでは、日本は預貯金偏重型の資産運用が主体であり、アメリカは投資信託など投資重視型の資産運用をしていると思われているのではないでしょうか。

しかし、そのイメージはここ30年のアメリカの変化によるものだと思います。

アメリカは401Kの導入により、投資信託を通じた投資が急激に伸び、株式市場は買うから上がる、上がるから買うの連鎖が30年以上にわたって続いています。

そして、個人金融資産は運用によって効率よく増え、もはや約1京円にまで達しました。

一方で、日本は長らく低金利と株安が続いたことから、運用しても資産がなかなか増えない状況が続いてきたわけです。

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(出所:金融庁)

嘘から生まれた新NISA?


ここに目を付けたのが岸田政権の金融所得倍増計画です。当初は単なる所得倍増計画だったはずなのに、なぜか途中から趣がガラリと変わり、対象が勤労所得から資産所得になってしまいました。

これは嘘ばかりつく岸田政権の最初の嘘といってもよいものでした。

そして、打ち出されたのが新NISAであることはご存じのとおりです。

2023年度の金融行政方針もこの流れに沿ったものです。

具体的な内容として、運用会社の運用効率を向上させる施策と、運用会社から投資先会社に積極的な対話を働きかけ、投資先会社の経営効率の向上を図る施策の2つに大別できます。

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非効率事務の負担は投資家が


運用業界に求める具体的な内容としては、投資信託の基準価額計算の慣習見直しが挙げられます。

日本では、投資信託の基準価額を運用会社と信託会社の2社が別々に計算し、計算が一致するか確認しています。

しかし、欧米ではこのような二重計算は行っておらず、信託会社だけが行っているのが一般的です。

二重計算により、余計なコストが発生し、それが信託報酬という形で投資家に請求されるため、運用効率が下がっているという指摘があります。

この長年の慣習にメスを入れるというのが、金融行政方針の一つとなっています。

金融庁、人事にまで口を出す


さらに金融庁は、運用会社の人事方針にまで目を配っています。

日本では、多くの投資運用会社は金融グループの中の一つに組み込まれています。

そして、その社長のポジションなりが、親会社役員の「上がり」のポストたったりするわけです。

それまで、運用に携わっていたわけでもない人がいきなり落下傘のように舞い降りて、経営トップに立つわけですが、これではまともに機能するはずがありません。

顧客本位ではなく(一応顧客本位であることは謳ってはいるが)、親会社の言いなりで業務が行われるのです。

顧客軽視、顧客無視の経営が横行するわけですから投資家にとっては大迷惑な話です。

金融行政方針では、運用会社の経営が一定の独立性を保つよう促すということです。

対話から投資先企業の価値向上へ


もう一つの柱は、運用会社に投資先企業との対話をするよう求めることです。

すでに日本でも日本版スチュワードシップ・コード(※)が策定され、運用会社などの機関投資家は、投資先企業との対話を通じて持続的成長を促し、投資家の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任があります。

これをさらに深化させようとしているのではないかと思います。

とにもかくにも、投資家にとって投資コストが下がり、投資先企業の価値が向上することは好ましい。

日本株は長らく低迷してきた分、成長余力は大きいと思うのです。

※日本版スチュワードシップ・コード
日本の上場株式に投資する機関投資家が責任ある機関投資家であるために有用と考えられる諸原則。金融庁が2014年2月に策定。法的拘束力に縛られない自主規制であるが、各原則を順守するか、順守しないのであればその理由を説明するよう、機関投資家に求めている。


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