貧困層がますます貧困になる。スクリューフレーションという現象

収入が少ないと必然的に支出に占める生活必需品の比率が高くなります。
ところで生活必需品とそれ以外では、価格の推移が大きく異なっています。これは、新興国の台頭によるもので構造的な要因です。
具体的には、生活必需品は値段が上がる一方で、それ以外のものの値段は下がるという現象が起きます。
これによって、高収入者の生活は潤う一方、低中収入者の生活は苦しくなる一方となります。
さらに日本政府はその傾向に拍車をかけるのですから、弱い者イジメもいい加減にしろと言いたくなるのです。
貧困化でエンゲル係数上昇
エンゲル係数(消費全体に占める食料費の割合)を年収別に比較すると、高年収者ほどエンゲル係数が低くなっていることがわかります。

(出所:総務省)
要するに、低収入者ほど支出に占める生活必需品の割合が高いのです(当たり前・・・)。人として最低限の生活をするための支出を削ることはできないからです。
エンゲル係数は、豊かになれば低下していくのが普通ですが、近年の日本は逆に急上昇しており、貧困化が進んでいることがわかります。

(出所:社会実情データ図録)
日本人貧困化の2大要因
これは可処分所得が減少したことによる影響だと考えられます。
日本人の可処分所得は1998年あたりにピークを付け、減少に転じました。これには2つの理由が挙げられます。
まずは、政府の公共投資の減少です。
バブル崩壊の塗炭の苦しみの中にありながら、平成10年(1997年)をピークにひたすら公共事業を削減するというデフレ化加速政策を行い続けたことによる影響です。

(出所:国土交通省)
これに加えて、1997年4月には消費税率が3%から5%へと引き上げられました。
財布の紐を締め、税金を多く召し上げればどうなるかは猿でもわかるでしょう。その結果は・・・、以後25年にわたって実質賃金が下がり続けるという日本貧困化への道でした。
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新興国台頭による生活必需品の価格上昇
日本が貧困化する一方で、世界では新興国の台頭が著しい。
新興国が豊かになれば、よりよい暮らしのために、まずは生活必需品の需要が急増することとなります。
新興国の台頭が目立ち始めた1990年代以降、食料品やエネルギーなど、生活必需品の値上がりが目立つようになりました。


(出所:世界経済のネタ帳)
弱者がますます弱くなるという現象
その一方で、新興国の安い人件費を武器にした、労働集約型の工業製品の値段は上がりにくくなっています。
例えばテレビの値段。20年前からひたすら下がり続け、上がる気配はありません。新興国の安い人件費による供給により常に供給過剰状態にあるといえます。

(出所:GD Freak)
このような現象によって、日本人の生活はどう変わったのか。
生活必需品の消費比率が高い低収入者層は、値上がりによって、ますます生活が苦しくなる一方、その比率が低い高収入者層はぜいたく品が値下がりしているメリットを享受できるために、生活必需品の値上がりの痛みを感じることはありません。
要するに中低収入者の生活がますます苦しくなるということです。
これは世界的に起きている現象であり、物価上昇により締め付けられるという意味で「スクリューフレーション」と呼ばれています。
エンゲル係数の上昇に見られるように貧困化が進んでいる日本では、その苦痛は他国に比べて大きくなります。
最後に
世界的に、減税が行われ、政府による財政支出が拡大する中で日本はその逆を突き進むという愚行を今だ続けています。
これはいったいなぜなのか。
答えはいまやかなりの人が知っていますが、マスレベルにまで知れ渡っていないため、日本政府の愚行を真っ当な政策だと思っている日本人が多いことはまるで悲喜劇です。
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