上場企業への株価上昇圧力高まる。第三のアクティビスト登場

取引所

従来のアクティビストに加えて、最近では東京証券取引所と金融庁がタッグを組んで第二のアクティビストまがいとなったことをご存じのかたも多かろうと思います。

上場企業としては、株価を上げるべく様々な施策を打たなくてはならず、頭を悩ませている企業も多いはずです。

そして、この2つのアクティビストに加えて、第三のアクティビストが登場してきたのですから上場企業としては気が休まる暇もないのです。






低PBR銘柄への圧力高まる


東京証券取引所が低PBR銘柄に対して、その是正措置を講じるよう求めたことを受け、割安株に投資し企業との対話を通じて、その企業価値の向上を狙うエンゲージメント型の投資信託が相次いで設定されているといいます。

これにより、低PBR企業に対する株価上昇へのプレッシャーはさらに高まることは間違いなさそうです。

2023年9月7日、国内で初めてアクティブ上場投資信託(ETF)が上場したわけですが、その中の一つが「PBR1倍割れ解消推進ETF」(2080)です。

上場後、市場価格は堅調に推移しています。

●PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)
20230918_2080.jpg

エンゲージメント型ファンド増える


運用会社のシンプレクス・アセット・マネジメントのWEBサイトに同ETFが紹介されていましたので、その一部を抜粋してみます。

「PBR1倍割れ解消推進ETF」は、上場会社でありながら株価がブックバリューを下回っているという特異な現象を改善させることを目的に、経営者に対してエンゲージメントを行っていくことでパフォーマンスを上げていくアクティブETFです。

となっています。

ちなみにエンゲージメントは、約束、契約、誓約といった意味をもっています。言葉の使用場面によって多少意味合いは異なるものの、いずれの場合でも深いつながりをもった関係性を示しています。

似たようなファンドが今後続々と誕生する予定であり、企業価値が低い上場企業にとって、気が気ではならないでしょう。

運用会社が力を入れるのは、割安株にはまだまだ企業価値の改善余地があるためにほかなりません。

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ファンドの戦略


このようなエンゲージメント型の投資信託はどのような戦略で自らの価値を上げようというのでしょうか。

企業と対話を重ね、自社株買いを推進させたり、MBOを提案したりして、株主にとっての企業価値を向上させるよう促す、これによって株価を上げようという戦略です。

シンプレクス・アセット・マネジメントの社長は、自社が組み入れ銘柄となっていると企業側に恥ずかしいという気持ちが生まれ、企業価値の改善に向けた動きを取らざるを得なくなるのではないかとまで語っています。

株主資本主義が遅れてやってきた日本で、のほほんとしてきた上場企業にとっては受難の時代がきたようです。

超低PBR銘柄


参考までにPBRが0.2倍以下の超絶低PBR銘柄を参考に載せておきます。

やたら目立たない地方銀行が多い印象を受けます。地方の衰退と、再編が進んでいない地方銀行への期待感の無さを象徴しているようです。

日山村硝(5210)0.20倍
桂川電機(6416)0.20倍
じもとHD(7161)0.11倍
エフテック(7212)0.19倍
GMB(7214)0.14倍
千葉興銀(8337)0.20倍
筑波銀行(8338)0.19倍
山梨中銀(8360)0.19倍
ほくほく(8377)0.19倍
百十四銀(8386)0.19倍
大分銀(8392)0.18倍
高知銀行(8416)0.09倍
大光銀(8537)0.15倍
福岡中銀(8540)0.18倍
栃木銀(8550)0.19倍
南日本銀(8554)0.14倍
東和銀(8558)0.17倍
豊和銀(8559)0.10倍
宮崎太銀(8560)0.13倍


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