SBI、楽天に追い詰められたマネックス、松井。それぞれの対抗戦略

将棋

SBI証券、楽天証券による日本株売買手数料無料化は、他のネット証券に大きな衝撃を与えているようです。

長らくネット証券業界はSBI、楽天、マネックス、松井、auカブコムの5社で寡占してきたわけですが、SBIと楽天が大きく抜け出して、他を振り落としにかかっています。

焦りを感じたマネックス証券、松井証券はそれぞれ別の対抗策を打ってきました。

今までネット証券の台頭は対面証券のシェアを大きく奪ってきたわけですが、ネット証券業界内においても仁義なき戦いによる潰しあいになっています。






両巨頭に取り残されたネット証券


SBI証券と楽天証券の日本株売買手数料無料化宣言の直後、マネックス証券はドコモの子会社となることを発表しました。

マネックスが狙ったのは、ドコモの膨大な顧客基盤と巨大な資本力であると思われます。

マネックス証券は追い詰められていました。

業界の巨頭、SBI証券は約1000万口座の顧客基盤を持ち、直近期の営業収益は約1750億円です。もう一つの楽天証券は約900万口座を持ち、営業収益は約950億円です。

これに対し、マネックス証券は約200万口座、営業収益は約310億円と後塵を拝していました。

日本株への依存度の違い


また収益構造にも違いがあります。

SBI証券は日本株への依存度は11%程度、楽天証券は17%程度であり、それが0になってもなんとかなるのでしょう。

しかし、マネックス証券の場合は2割以上を日本株に依存しており、0にしたら赤字転落は免れないでしょう。

究極の手数料競争に付き合うことはできず、他社の顧客基盤と資本力をバックに別の道を歩もうとしているようです。

松井、SBIと楽天の裏をかいたつもりだが・・・


追い詰められたのはマネックス証券だけではありません。松井証券も同じです。

松井証券は長らく自主独立路線を走っており、今後もその路線は変わらないようです。

松井が取った戦略はSBIと楽天の裏をかくものでした。

日本株の手数料ではなく、新NISAにおける米国株の手数料無料化を打ち出したのです。日本株無料化を他の収益でカバーしようとするSBI、楽天に一矢を報いようという戦略であったろうと想像します。

しかし、すぐさまSBIと楽天も松井に追随してきました。もはや集団自殺ともいえる消耗戦の様相を呈しています。

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投資信託販売を慈善事業化


松井が次に取った対抗策は、投資信託の信託報酬でした。

松井は今も信託報酬の一部を還元するサービスを行っているわけですが、受け取る報酬率が0.33%超の投資信託に限定されています。

2023年11月からこの条件を撤廃し、松井が本来受け取ることができる信託報酬のすべてをポイント還元します。

販売手数料も無料、信託報酬も全額還元となれば、もはや松井にとって投資信託はサービス商品、慈善事業にすぎませんが、もともと松井は投資信託そして米国株への参入が遅かったため、既存の収益を失うことにはならないという考えがあるのでしょう。

そしてSBIと楽天へのせめてもの対抗といったところではないかと思います。

もはやこれまで・・・!?


しかし、松井の顧客基盤はマネックスよりもさらに脆弱です。

顧客口座は約140万程度にすぎず、営業収益はマネックスと同程度です。

SBIと楽天に振り回されて、自らの収益基盤を犠牲にしなければ、顧客を呼び込めません。かといって何もしなければ縮小均衡していくだけ・・・。

前門の虎後門の狼といったところなのです。

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