トルコ通貨危機の影響が世界に広がりつつある

トルコに住むアメリカ人牧師がトルコでのクーデター未遂事件に関与した疑いがあるとして、トルコ政府が拘束した問題が発端となり、アメリカとトルコの仲が険悪になっています。
トランプ大統領はこの事態に対抗し、トルコへの関税を大幅に上げることを表明しています。
この事態を受け、トルコリラはここ最近で急落を続けています。
ただでさえ、アメリカは利上げを続けており、ドル高傾向にある中で新興国から資金が逃避し、新興国の通貨は安くなりやすい環境にありましたので、とどめを刺されたような格好となりました。
トルコ通貨安の影響は他の新興国通貨に影響を与え始めました。とりわけ連れ安となっているのはアルゼンチンペソです。
アルゼンチンは過去にもデフォルトを起こしており、信用リスクの常連国ですね。続いてロシアルーブル、ブラジルレアル、南アフリカランドといったところです。
新興国は通貨安が進むと外貨建て債務の返済負担が重くのしかかってきます。トルコの対外債務は外貨準備の4倍にのぼっています。市場はトルコの債務不履行を意識し始めており、CDS市場ではトルコ国債の保証料率が急騰しております。
影響は日本の投資家にも及んでいます。トルコの債券や株式に投資する投資信託の基準価額が急落しています。前年比で約5割程度の値下がりをしている模様です。市場の混乱を受け、流動性も低下しており、一部の投資信託は解約の受付を停止しており、売るに売れないような商品もあります。
皮肉なことにトルコ経済の混乱によりアメリカ企業にも警戒感が広がりつつあり、企業心理に冷や水を浴びせています。
FRBは9月にも再度利上げをもくろんでいたようですが、雲行きが怪しくなってきました。
米ドルの利上げ期待が後退するとドルが売られ、円が買われる可能性が高くなります。回りまわって円高が進み、日本の企業業績にも冷や水を浴びせかねない事態を想定しておかなけらばならなくなりました。
早く市場を落ち着かせないとアジア通貨危機の二の舞になりかねず、慎重に市場を注視しておく必要がありそうです。
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