マネックス証券のドコモ子会社化は絶妙のタイミングとスキーム

チェス

SBI証券と楽天証券が日本株の売買手数料無料化を発表した後、大手ネット証券の一社であるマネックス証券がドコモの子会社となることを発表したことは記憶に新しい。

ところでこの買収劇、金融のスペシャリストであるマネックスの考えたスキームにドコモがまんまと乗せられたという感が強いという印象です。

この買収劇にはどんな背景が隠されているのでしょうか。






証券会社を取り巻く圧力


海外の投資家、とりわけアクティビスト投資家が日本の証券会社株に注目しているといいます。

そのきっかけとなったのは、東京証券取引所が2023年3月に上場企業に対して、資本コストと株価を意識した経営を要請したことです。

上場証券会社は軒なみPBR1倍割れとなっていることに加え、証券業界はPBRといった概念を熟知しているため、資本コストなどの用語を一から説明しなくて済むことから、他業種と比べてプレッシャーをかけやすいというメリットがあります。

マネックスグループでもこういったアクティビストが株主となっていたのです。

香港を拠点とするオアシス・マネジメントがマネックスGの5%超の株を保有しており、株主からの風当たりが強くなっていたものと推測します。

得るものが多かったマネックス証券売却


ところで、マネックス証券の現社長はもともと投資ファンド出身であり、その後、マネックス系のM&A助言会社を経てマネックス証券の社長となっています。

要するにM&Aについて熟知した方がマネックス証券の社長であるわけです。

そのため、ドコモの子会社になってもマネックスGの影響力を多く残すことに成功しました。

具体的には「マネックス証券」のブランドはそのまま残し、社長もそのまま続投することとなっている点などです。

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アクティビストの影響を排除したスキーム


なによりも絶妙だったのは売却スキームです。

マネックスGの主要子会社であるマネックス証券の売却には株主総会での決議が必要になるのが通常でしょう。

しかし、今回のスキームでは売却後の株式保有比率はマネックスGが51%、ドコモが49%となります(スキームは少々複雑なので割愛)。

売却後も議決権ベースでマネックスGが過半を握るため、株主総会での決議は不要となりました。

それでなぜドコモの子会社だといえるのかといえば、ドコモが取締役の過半数を指名する権利を有することによる実質支配力基準に基づくものです。

マネックスGの株主にアクティビストがいることを踏まえると株主総会を開けば、荒れる可能性が高い。その可能性を排除するために、このようなスキームとしたのだと考えられます。

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