日本には金太郎飴のような運用会社ばかりがある理由

所得倍増が資産所得倍増になぜか変身し、日本は資産運用立国になろうとしています。
資産運用立国を目指すには多様な金融サービスが欠かせません。投資運用の世界でもそれは同じです。
しかし、残念ながら日本には個性ある独自の資産運用会社は数えるほどしかありません。
かの有名な「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの社長で伝説的ファンドマネージャーでもある藤野英人氏が日本の資産運用業界の問題点を鋭く指摘しています。
日本の運用業界の特徴
藤野氏は言います。戦後の日本では銀行や証券、保険会社に集まった資金の二次利用という形で運用ビジネスが始まったのだと。
そのため、運用会社は大手金融機関の子会社として設立されるのが常であり、巨大資本であることが当然とされたのです。
その結果として、独立系のブティックのような運用会社はなかなか生まれず、生まれたとしても生き残ることは難しいことでした。
やる気のある人は海外へ逃避
金融当局が求めている形で会社組織を整えると、運用残高は最低でも300億円程度必要になるといいます。そうしないと赤字になってしまうのです。
しかし、実績のない会社に最初から数百億円もの資金が集まるわけがありません。
やる気のある人は日本を捨て、シンガポールなどの海外に転進したのです。例えばシンガポールはインフラが整備されており、低コストで運用会社を経営できるからです。
![]() | 投資家みたいに生きろ 将来の不安を打ち破る人生戦略 [ 藤野 英人 ] 価格:1650円 |

運用会社の社長の椅子は単なるポスト
とりわけ問題だと思えるのは、大手運用会社の社長には、銀行や証券会社の社長になれなかった人が就くことです。
明らかに運用会社を下に見ており、お疲れさんのポストに運用会社の社長の椅子が用意されているだけ・・・。
経験も専門性もない社長に運用会社の経営がまともにできるとは思えません。また、長期投資を勧めているにもかかわらず、単なるお飾り社長が3,4年で会社を去っていき、入れ替わり立ち替わり、社長が変わっていくのですから、腰の据わった経営ができるはずがありません。
こんな状況ですから、日本の資産運用立国構想は絵に描いた餅に終わってしまう可能性すらあります。
関連記事
金融庁、運用会社に注文を付ける。2023事務年度金融行政方針
新NISA、一部運用会社の思惑と金融庁の思惑が激突!
流行に流されやすい国民性が投資のコストを押し上げるという皮肉
グループ人事に翻弄される運用会社。社長は天から天下り、去っていく
昨日の友は今日の敵。ファンドラップ市場に運用会社が直接参入
護送船団方式は今だに生きている。投信業界の闇
日本の投資信託に見られる特有の問題点は何か
↓↓応援クリックお願いします↓↓

にほんブログ村
![]() | おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス [ 藤野 英人 ] 価格:1650円 |

- 関連記事
-
-
中小証券は今後IFAへの転身が進むであろう 2020/03/09
-
マイナンバーが勝手に証券会社へ渡る。1984の世界へ近づく 2021/06/20
-
auカブコムの取り組みで投資信託の販売業者が増える! 2020/07/10
-
地方銀行の憂鬱(採算悪化) 2018/04/20
-
AIが相談に乗ってくれる。人間より腹黒くないからその方が安心 2021/08/24
-
コメント