GDPが低迷しているのに企業業績は絶好調という不思議な現象

日本経済が減速しています。
2023年7~9月期のGDP速報値は実質で前期比年率2.1%減となりました。その要因とした上げられるのは物価の上昇です。
物価の上昇に所得が追い付かないため、個人消費が低迷しています。
その一方で、上場企業は利益を伸ばしており、過去最高益を更新する見込み。
一体このような乖離がなぜ起きているのでしょうか。
21世紀は暗黒の時代
以下は、1990年からの現金給与総額と消費者物価指数の推移です。

(出所:三橋貴明氏ブログ)
1990年代は、物価の伸びよりも給与の伸びの方が大きく、働けば豊かになった時代だといえます。
しかし、21世紀に入ってからというもの、物価の伸びはデフレで抑えられたのはもちろんですが、それ以上に給与が下がっているのは悲惨の一言に尽きます。要するに貧乏暇なしです。
このような逆転現象を生んだ要因は、デフレ下で行われた複数回に及ぶ消費増税であることは明らかです。
インフレに追い付かない賃金
物価上昇の影響で、2023年7~9月期の個人消費は前期比0.04%減となりました。インフレに所得が追いつかないため、個人は守りに入っています。
個人だけではありません。企業も同じです。2023年7~9月期の設備投資は前期比0.6%減となっており、物価上昇が好景気によるものではないことは明らかです。
企業は手元資金を潤沢化しており、上場企業では2023年6月末時点で約98兆円と過去最高水準にまで積み上がっています。
消費が低迷しても企業業績はアップ
こんな状況ですから企業業績も振るわないと思えばそうではありません。
2024年3月期の上場企業の純利益見通しは、前期比13%増と見込まれているのです。3年連続で最高益となる見通しであり、その予想は2023年9月からさらに7%アップしました。
物価上昇で個人消費がふるわないというのに、なぜ上場企業は最高益を更新し続けているのでしょうか。
上場企業、最高益の理由
その理由の一つは円安です。
例えばトヨタ。
トヨタ自動車の2024年3月期の営業利益は4兆5千億円に達する見込みであり、もちろん過去最高益です。
好調なのは輸出企業だけではありません。
内需産業も、商品の値上げが浸透し、増収増益型の企業が増えています。
個人はゆでガエルのように値上げを受け入れており、企業はその恩恵に与かっているというわけです。
この流れは株主資本主義真っ盛りの日本においては当面変わるとも思えず、日本株の保有がインフレヘッジ、そして株主資本主義に対する対抗策となりそうです。
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