人手不足なのに正社員になりたい人がなれないという矛盾はいったい?

チェス

少子高齢化による人手不足が進展しています。

人手不足であれば、人材を獲得するためにより良い条件で雇用するのが普通であり、非正規社員を正規社員にするなどの措置が取られるのが一般的だと思います。

ところがです、この人手不足にもかかわらず、非正規から正規雇用への転換はごく一部にとどまり、ほとんど伸びていません。

このような現象がいったいなぜ起きているのでしょうか。






団塊世代リタイアで失業率低下


以下は1980年からの日本の失業率の推移です。

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(出所:世界経済のネタ帳)

団塊の世代(※)が相次いでリタイアした2010年前後から失業率が急速に低下していることがわかります。

アベノミクスによる影響もあろうかとは思います。

(※)団塊の世代
第二次大戦直後数年間のベビーブーム時に生まれた世代。通常、1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)にかけて生まれた人をいう。


正社員がむしろ不足


そして以下は、労働力の需給推移です。

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(出所:社会実情データ図録)

ここ最近10年くらいは、パートタイマーよりも正社員のほうがむしろ不足していることがわかります。

2023年の調査では正社員不足と答えた企業は52%にも達し、大手転職サイトを通じた正社員から正社員への転職数も2022年は5年前に4倍にもなっています。

ミスマッチという矛盾


にもかかわらず、正社員になりたい人が実際に正社員になれたのはたった7%前後にしかすぎません。

国は正社員への転換を支援しており、2013年度から社内の非正規社員を正社員にする企業へ、中小企業では1人57万円、大手企業では42万円を出しているのにです。

端的にいえば、企業は正社員を欲しがっており、正社員になりたい人はたくさんいるのに、実際に正社員になれる人はごくわずかだということです。

これは企業と労働者のミスマッチによって起きているとしか考えられません。

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固定化された悲しい階層社会


それは労働力の過不足を見ても明らかです。

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(出所:社会実情データ図録)

今、人手が足りないのは専門職や技術職など高い専門知識や技能が求められる職が中心です。

しかし、就職氷河期でうまく社会に適合できなかった人は専門性のない非正規社員に長くとどまらざるを得なかったと考えられます。

そのような人たちはなかなか正社員になれず、まるで固定化された階層社会の中をグルグル回遊するほかありません。

また、日本は正規社員と非正規社員の給与格差が大きいことも一要因であろうと思います。

日本の非正規社員の賃金は正規社員の65%の水準程度であり、イギリスの85%やドイツの74%に比べて低く、非正規と正規の間に大きな隔たりができています。

最後に


2022年、非正規社員は前年よりも26万人増加しました。一方で正社員は1万人の増加にとどまっており、雇用者全体に占める非正規社員の割合は36.9%にまで上昇しています。

賃金が低く、雇用が不安定な非正規社員では、結婚もままならず、少子化が止まるとは思えません。異次元の少子化対策という言葉が虚しく聞こえるのです。

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