株価の上昇が個人投資家の行動に変化をもたらすという本末転倒

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日経平均は来週早々(2024年3月4日)にも4万円台という未知の領域に突入しそうです。

しかし、実体経済とはかなりの乖離が見られ、日経平均の異様な上昇は、一部の半導体銘柄、そして値がさ株の高騰に多くを依存しています。

個人投資家の行動にも変化が現れており、投資行動の変化が株価を動かしているというよりも、株価の変動によって投資行動が変化するという本末転倒が起きているように見えます。

さて具体的に、個人投資家の投資行動にはどんな変化が見られるのでしょうか。






逆張りから順張りへ


日本の個人投資家は逆張り志向が強いことで有名です。

これはバブル崩壊によって、“株価は下がるもの”という意識が潜在的に根付いてしまったためだと思われます。

ところがここ最近の株高は、個人の逆張り志向に変化をもたらしています。

今までですと、株価が上がれば個人は売りに走るというのが当たり前でしたが、最近の株高局面では、個人の売りが目立たなくなっています。

ここまで上がると思わなかった投資家が、すでに売り切ってしまったという理由がまず思い浮かびます。

また信用取引で空売りを得意としていた投資家は、今回の株高で大やけどを負った可能性が高い。

踏み上げによる株の買戻しが株価上昇に拍車をかけて、自分で自分の首を絞める結果となり、その後は羹に懲りてあえ物を吹くかの如く、高値圏で売りを仕掛けることができなくなってしまったと考えられます。

個人のみならず企業にも変化が


変化が現れているのは個人投資家の行動だけではありません。企業の株式保有動向にも変化が見られます。

株式持ち合いの解消が進み、日本の企業社会の特色でもあった株式持ち合いは少しずつ減少しています。

株式持ち合いは、企業同士の取引継続や安定株主作りを目的に行っていたわけですが、1990年代に海外投資家から激しい批判の声が相次ぎました。

大雑把にいえば、安定株主の存在が日本企業にぬるま湯的な経営を許しているといった批判です。

コーポレートガバナンス改革も株式持ち合いの解消を促しました。2015年にコーポレートガバナンス・コードが導入され、投資家に対して保有方針の説明を求められたため、合理性が薄い株式の保有は難しくなったのでした。

以下は日本の株式保有動向の推移です。

20240303motiai.jpg
(出所:金融庁)

金融機関による株式持ち合い解消が著しく進んでいることがわかります。

また、コーポレートガバナンス・コードの導入(2015年)の後、株式の持ち合いが加速的に解消されていることがわかります。

20240303motiai2.jpg
(出所:金融庁)

株価は上昇してもリストラ相次ぐ


ところで、株価がこんなにも上昇しているというのに、企業のリストラが相次いでいることには驚かされます。

例えば資生堂。1500人規模の人員削減を発表したわけですが、赤字に陥ったわけではありません。

確かに業績が伸び悩んでいるわけですが、連結従業員数が約33000人いる中での1500人はかなりの規模の人員削減です。

バブル崩壊以前では考えられないようなリストラが、今の世の中では当たり前のように行われます。これも株主資本主義の進展による影響であろうと考えられます。

資生堂のほかにもソニーグループやオムロンなど、日本を代表する一流企業がリストラを打ち出してきています。

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株主資本主義がアメリカにもたらしたもの


逆にいえば、株主のための容赦ないリストラなどの施策が株価の上昇の原動力となっている、ともいえます。

アメリカでは1990年代以降に株主資本主義が進展したわけですが、その間に起きたことはジニ係数(※)の推移を見れば明らかです。

20240303jini.jpg
(出所:社会実情データ図録)

格差が確実に拡大していることがわかります。日本においては、株主資本主義が緒についたばかりであり、アメリカの先例を見れば日本でも今後さらに格差が拡大していくことが予想されます。

(※)ジニ係数
所得や資産の不平等さを表す指標。指標は0~1の数値となり、数値が大きいほど不平等が大きいことを示す。0.2~0.3程度が望ましいとされ、0.4を超えると格差が拡大しており、社会が不安定になって騒乱が起きやすくなるとされる。


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