金相場から見える中国経済の制約条件と日本政府の愚行ぶり

宝

金(GOLD)の値段が上がっています。

とりわけ2024年に入ってからの上昇が著しい。

しかし、不思議なことに欧米の機関投資家はこの間、金を大きく売り越しています。ではいったい誰が買ったのか?

マーケットでは疑問の声が上がっていたのですが、その答えがどうやら明らかになったようです。






いったい誰が金を買っているのか?


以下はここ5年間の金の値動きです。

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コロナ禍で上昇後、ボックス相場となっていたわけですが、2024年に入って上放れしました。

ところがこの間、価格変動の主な担い手である欧米の機関投資家は、金を売り越しています。ではいったい誰が買い越しているのでしょうか。

買い手がいったい誰であるのかは謎だったのですが、それがどうやら明らかになってきました。

その正体は・・・、中国の個人投資家です。

ではなぜ中国の個人投資家が今、金を買い込んでいるのでしょうか。

デフレに悩まされる中国経済


ご存じのとおり、中国経済は今、岐路に立たされています。

米中貿易戦争は今だ続いており、そんな中で不動産バブルが崩壊中です。世界はインフレにあえいでいるわけですが、不動産バブルが崩壊するとともに急速に高齢化が進展している中国は、デフレ経済に悩まされているのです。

30年前のどこかの国とそっくりです。

それは株価も見てもわかります。世界が株高となっている中でも上海総合指数は取り残されています。

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デフレになれば財政出動による政府主導の景気回復が対策として考えられます。

そして、自国通貨を持つ中国にはそれが可能にも見えますが、その実、中国には大きな制約があり、それができなくなっているのです。

人民元と日本円と米ドルと・・・


人民元は、厳しい管理下にある変動相場制であり、事実上はドルペッグの固定相場制であるというのが実態です。

それは人民元と米ドルの為替相場の動きと、円と米ドルの為替相場を比べればよくわかります。

●人民元/米ドル
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●円/米ドル
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日本円に比べて人民元のレートの変化は極めて小さいことがわかるでしょう。

中国政府、打つ手がなくなる


中国は、1985年のプラザ合意後の日本が、為替レートの急激な変化によって、いかに苦しめられたかをよく調べています。

話はそれますが、昨今、行き過ぎた円安だの、円安は悪だのといった論調が目立つわけですが、円安自体が悪いとはとても思えません。

悪いのは、企業や個人が対処しきれないような急激な変化だというのが個人的見解です。そして、総合的にみれば、今の日本にとっては円高よりも円安のほうがメリットは大きいと思います。

そして、中国は為替レートの急激な変動を抑えて、自国経済を守ろうとしてきたわけです。要するに、人民元は金本位制ならぬドル本位制なのです。

ところがドル本位制であるがゆえに、中国政府あるいは中国人民銀行は大きな足かせをはめられて、デフレでも大規模な財政出動による景気の立て直しができなくなっています。

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中国人が金に投資する理由


中国は、米ドルの外貨準備が十分でなければ人民元を発行できないということです。

リーマンショック時には、中国は人民元発行残高の1.3倍もの米ドル外貨準備を保有していました。そのため、リーマンショック後に、世界でも稀に見るような大規模財政出動で世界経済立て直しの牽引役を果たすことができたわけです。

しかし、2015年にはその倍率が1倍を割り込み、いまなお減少中です。

こんな最中に人民元を大量発行し、巨大な財政出動をすれば米ドルペッグ制が維持できなくなり、人民元暴落となる可能性がある。それを恐れているため、中国政府は打つ手がなくなりつつあり、手が詰まってきています。

それを見越して、人民元を見限って金に換えている中国の投資家が多いのでしょう。また不動産バブルが崩壊したために投資先を失ったマネーが、金に向かっている面もあります。

日本の愚行が浮かび上がる


翻って考えてみますと、完全変動相場制であり、自国通貨を持つ日本がデフレにもかかわらず緊縮財政をとってきたことがいかに愚かな行為であったかがわかろうというものです。

打ち手がなくなったので財政出動ができない中国はある種仕方がないといえますが、財政拡大という打ち手があった(今もある)のにそれをしなかった日本政府≒財務省、政治家の責任は重大だということです。

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