スルガ銀行にいったい何が起こったのか

次から次へと不祥事が発表されているスルガ銀行。株価もまさにつるべ落とし。3,000円近くから600円くらいまで下げて、半値8掛け2割引き以下の水準にまで落ち込んでしまいました。
スルガ銀行は銀行らしからぬ果敢な経営で高い利益率を誇っており、私も株を持ちたいと思っていた銘柄だけにスルガ銀行にいったい何が起こったのか。今更ながら検証してみました。
【スルガ銀行の成り立ち】
スルガ銀行は1895年に静岡県沼津市で設立されました。創業家による経営が約120年にもわたって続くという銀行業界では異色の存在です。
とりわけ創業者である岡野喜太郎氏は62年にもわたって頭取を務めるという超異例の長さになっています。喜太郎氏はリスクを果敢にとる経営を是としていたようです。
その後も代々岡野家より頭取が歳出されることになります。
【スルガ銀行の特徴】
ところで、静岡県には静岡銀行という強力な地銀があります。また、沼津市は神奈川県に近く、東に行けば今度は横浜銀行という強敵がいます。
そこでスルガ銀行は法人融資から個人向け融資に軸足を移し、それまで融資の対象ではなかった女性や自営業者などに融資することで大きな利益を得ることとなります。
地銀業界においては異色の存在感があり、創業家の威光は絶対的であったと考えられます。ここ最近は利益率の高い不動産関連融資に傾注しており、安定した収入のあるサラリーマンであれば年収の20倍くらいは簡単に融資してくれたそうです。
数字が人格であって営業至上主義といった言葉がまさにぴったりと当てはまる銀行です。
【行き過ぎた営業と失われたガバナンス】
そのような営業至上主義の中で、例のシェアハウスの問題が発覚しました。女性用シェアハウスなどの融資において、借入希望者の年収や金融資産を水増ししたり、実際の取引価格と異なる契約書が提出され、さらにその事実を知りながら融資をしていたというのです。
そして、ここにきて浮き彫りになった問題点はスルガ銀行から創業者の関連企業への融資が500億円近くにも上るということです。
創業家の関連企業は20社以上におよびそのうちの10社程度に融資がなされていたようです。なかには実態のない企業もあるようで、借入金の使途が気になるところです。
最後に・・・
これから厳しい行政処分が待ち構えていることは間違いなく、スルガ銀行のビジネスモデルは縮小均衡に陥ることになろうと思います。
今後、収益基盤回復の前にガバナンスの強化、再構築が必至であり、信頼の回復、収益の回復については厳しい道のりが待ち構えていることは疑いようがありません。
蛇足ですが、沼津市といえば1997年に経営破綻したヤオハン・ジャパンを思い出します。ヤオハンもダイエーやジャスコに押されて苦しくなり、世界に打って出る果敢な経営を行いました。しかし、行き過ぎた経営で無理がたたり粉飾決算まで行い最後には経営破綻してしまいました。同じく絶対的な一族経営であり、様相がそっくりです。
沼津市という土地柄は果敢な挑戦をする企業が多いのでしょうか。気になるところです。
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