フィッシャーの負債デフレ論から考える現在

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リーマンショックから約10年が経過しました。早いものです。

日経新聞に前欧州中央銀行(ECB)総裁のトリシェ氏の回顧録ともいえる興味深いインタビュー記事が掲載されていました。リーマンショックを目の当たりにした氏が現在の金融市場について警告を発していましたのでまとめてみます。

(記事のポイント)

・現在は08年の金融危機と同じか、それ以上の危険にさらされている。

・今、景気後退に陥ると極めてやっかいな状況になる。

・金融緩和により世界の債務は10年前より4割増えている。

・10年前と違い、政策金利の下げ余地は小さく、財政出動の余力も小さい。

・アービング・フィッシャーの負債デフレ論の警告を忘れてはならない。


(アービング・フィッシャー:アメリカの経済学者 1867年~1947年)

以上です。

現状、世界経済は数多の問題を抱えてはいますが、なんとか拡大を続けています。しかし、その拡大は多くの負債に支えられており、負債額が大きくなっていることから、ねじが逆転したときの反動は大きくなるということでしょう。

ここで「フィッシャーの負債デフレ論」とは何かまとめてみました。

・不況に陥ると借金を抱えている多くの人が負債を減らすために手持ちの資産を売りに出す。

・大量の資産売却が一気に起こることにより資産価格が暴落し、実質的な債務はさらに大きくなる。

・負債が資産価格を上回って債務超過に陥る人が多くなり、資産の売却はさらに加速し資産価格はますます下落する。

・上記がスパイラル的に連鎖し、デフレが加速していくという悪循環となる。


まさに1990年からの日本経済が当てはまります。リーマンショックのあと、投資銀行の経営者が言ったといいます。
われわれは音楽が鳴っている間は踊り続けなければならないと。

またいつか音楽は鳴り止むのでしょうか。リーマンショック再び、とならないよう祈るばかりです。庶民投資家としては持つリスクと持たざるリスクのバランスを考えながら軌道修正を図っていくほかありません。



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