全く当てにできない投信のKPIなる指標

各金融機関では投資信託を購入した顧客が利益を出しているか、損をしているかの指標(KPI)を公表しています。
この指標の公表は、金融庁が金融機関に求めているものです。
それによれば、含み益の顧客が多いのは独立系の投信会社。コモンズ投信やひふみ投信などです。しかし、これらの投信会社が上位に入ったのは至極当然の理由があり、同じ土俵で比べてはなりません。
その理由として、まず指標の算出基準時期が各金融機関により異なることです。
コモンズ投信は2009年から、ひふみ投信は2008年から。一方で、1999年からとか2004年からという金融機関もありバラバラです。リーマンショックで株価が大暴落している時が基準となっているのですから、利益を出している人が多いのは当然のことです。
また、金融機関により投資手法が大きく異なることも問題点です。
投信会社の直販では、積立型の投資が多く、時間分散がなされているため利益が出やすいという側面があります。ドルコスト平均法による投資のほうがより安全な投資ができるのは皆さんご存じのとおりです。
各金融機関が取り揃える商品ラインアップも指標に大きな影響を与えています。
株式型の投資信託に力を入れている金融機関は、ここ数年の株式の上昇の恩恵を受け、指標が高くなっています。 一方で債券型の投資信託、とりわけ毎月分配型の投資信託を多く扱った金融機関は分配金が支払われると投信の基準価額が下がるので評価損が出やすいですが、トータルリターンを見ると実は益が発生しているということが頻繁に起きます。
かように、ルールや基準がバラバラなので投資家はこの指標をまったく当てにできないし、当てにしたとすれば全く的外れな結論にたどり着きかねません。
このような指標はかえって投資家の先入観を深めるだけなので、金融庁は基準やルールをしっかりと定めて同じ土俵で比較できるよう改善してもらいたいものです。
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