米中による第二のヤルタ会談の可能性

新年も明けました。今年も大変な年になりそうです。年末は骨休みを兼ね、本を読んだりネットテレビを見たり・・・。
その中でも面白かったものを紹介させていただきます。
いささか衝撃的でしたが、現実的な世界のシナリオでした。
国際政治・米国金融アナリストの伊藤貫さんがチャンネル桜で話されていた今後の世界覇権のシナリオです。
伊藤さんは普段ワシントンに住んでいる方で、世界の歴史や政治動向に明るく、しかも他の評論家とは明らかに違うものの見方を紹介してくれるので、話を聞いているととても楽しいですよ。
今後、世界の覇権はアメリカと中国が争っていくのでしょうが、伊藤さんが紹介していたのは、元CIA副長官、マイケル・モレル氏のシナリオです。伊藤さんもモレル氏のシナリオを支持しているとのことです。
今、日本ではアメリカの圧力により、中国の力が衰退するかのような楽観論が蔓延しているように感じますが、話を聞くと背筋が寒くなる思いでした。
4つのシナリオが紹介されていました。どの可能性がいちばん高いか考えてみてください。
【Q:米中覇権争いのシナリオ】
1.戦争シナリオ
アメリカと中国が軍事的戦争に陥るというシナリオです。
2.米中貿易戦争でアメリカ勝利のシナリオ
今、勃発している貿易戦争でアメリカが勝利を収め、引き続き世界の覇権をアメリカが維持するというシナリオです。
3.アメリカのNo.2許容シナリオ
既に購買力平価で見たGDPは中国がアメリカを上回っており、ドル換算でもいずれ抜かれる。軍事予算もいずれ抜かれるので、アメリカは中国に次ぐ覇権国家であることに甘んじる。
4.アメリカと中国の交渉による世界の分断
世界でいずれ、なんらかの争いが発生したときに、アメリカと中国は2国間で交渉を行う。
そこで話をするのは、世界を2つに分け、アメリカと中国で勢力範囲を決めて、両国が覇権国として君臨する。
【答え(あくまでも可能性の話)】
中国の軍事力はかなりアメリカに拮抗してきています。
しかし、今のところアメリカ優位は揺るがないでしょう。
通常戦力でアメリカは中国を叩くことができるでしょう。
だが、中国は核兵器を持っています。
グアムや沖縄の米軍基地を一瞬で蒸発させる力を中国は持っているのです。
その被害のコストにはアメリカは耐えられません。
よって、1の戦争シナリオの可能性は考えられません。
次に米中貿易戦争ですが、現在、中国の貿易国としての立場は巨大になりすぎていて、そう簡単には成功しません。
答えが出るとしても2023年以降になるとのこと。
中国との貿易が途絶えて困る国とアメリカのそれを比べた場合、中国の方に軍配が上がるようです。
よって、2のシナリオも難しいようです。
続いて、3のアメリカのNo.2許容シナリオですが、アメリカ人のプライドがそれを許さないようです。
あくまでアメリカは世界の覇権国家でいたいようで、このシナリオ成立も厳しそうです。
すると4の交渉シナリオが最も可能性が高いということでした。
2か国で世界の勢力分布を決める。かつてのアメリカとソ連のようにです。
(詳しくはチャンネル桜(YouTube:【平成30年 年末特別対談】伊藤貫氏に聞く)をご覧ください。57分あたりから。私の文章では真意が伝わらないかもしれませんので。)
問題はそうなった場合の日本の立場。
地政学上、日本は中国側に組み込まれてしまうことになることは間違いありません。
そして、アメリカは日本から去っていく。
アメリカから買った兵器はアメリカのブラックボックスの操作により使用不能となる。
(F35戦闘機やミサイル防衛システムなど)
そして日本は無力になってしまうというのです。
いやー、このシナリオは嫌ですね。しかし、アメリカから買った兵器が本当に使えなくなるのかは私にはにわかに信じられません。
アメリカのものより性能を落としてあることは間違いないとは思いますが。
しかし、あの田母神さんも同じようなことを言っていた。
だから、国産の戦闘機を開発しなければいけないと。この辺は追って調べてみたいと思います。
【私なりの対応シナリオ】
1.改憲、法改正による自衛隊の法整備
自衛隊を普通の国の軍隊と同じ存在にできるよう法整備をきちっと行ってほしい。あまりに制約が多すぎる。だから、日本には何をやってもいいんだとなめられる。
2.軍事力の強化
年間予算を10兆円規模にして、通常戦力をさらに強化する。
3.兵器の国産化あるいは調達先の多様化
アメリカに依存しすぎている主要兵器を日本独自で国産化する。コスト割れをするならば近隣の友好国に輸出する。あるいは、フランスやイギリス、場合によってはロシアからも輸入する。
4.他国との連携
中国を取り囲む台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ロシア、インド、インドネシアなどと、ヨーロッパのNATOのようなものを作り、強固な安全保障体制を構築する。特に核兵器を保有するインド、ロシアとの連携が鍵になると思います。
5.核装備
究極的ではあるが、核兵器を持っている国に他国はちょっかいを出せない。難しいとは思うが、核兵器保有も長期的には検討しなければならない。
なんとも物騒な話となってしまいましたが、これもまた現実。
世界が不安定化する中で、ボーとしていたら日本は世界に飲み込まれてしまうと思います。
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