銀行の自主廃業が現実味を帯びてきた

1月14日の日経新聞1面にいささかショッキングな記事が掲載されていました。
「迫り来る銀行廃業時代」などという見出しの囲み記事です。
マイナス金利の影響を受けて貸出金の利ざやが縮小しており、地方銀行103行中、23行が本業で5期以上赤字を継続しており、その数は毎年2~3割増えているというのです。
預金者から預かった預金を有価証券で運用してなんとか黒字を維持している状況です。
この低金利では債券運用も難しく、かといって株や外国債券に投資すればもし失敗したときに大きな痛手を被ることになりかねません。
また景気後退の影響で大きな貸出先に万が一のことがあれば、自己資本が大きく毀損することになります。
地銀の社員はメガバンクの1.8倍にもかかわらず、預金量は8割程度とメガバンクに比べ経営効率がかなり悪いようです。
現状、銀行には廃業という概念はありません。自主廃業というと約20年前の山一證券が思い出されます。
今、案として浮上しているのが銀行の自主廃業案だそうです。
経営が危機的状況に陥るまえに自主的に経営を終えるということです。
一連の不祥事で信用失墜したスルガ銀行は預金の16%にあたる6,700億円超が引き出されてしまい、資金繰りに黄信号が灯ったようです。
他の銀行からの預金などでなんとかしのいだようですが、あの優良なスルガ銀行が?っていう感じです。
預金から貸出へとうまく資金が回っていたのがかえって資金繰りを厳しくしたようです。
貸した金はすぐに返ってきませんが、預金はすぐに引き出されてしまいますから。
最悪の事態を避けようと金融庁や日銀も資金を準備していた模様です。
アメリカの金利上昇が早期に打ち止めとなりそうな中、日本も金融緩和の手綱を緩めるわけにもいかないので、当分超低金利は継続するでしょう。
地銀に限らず、銀行業界は厳しい経営が続く長い冬になりそうです。銀行株はとても買えそうにありません。
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