NOI利回りと分配金利回りの差(Jリート)

ビル



東証リート指数が約2年ぶりの高値をつけています。

株価の不安定さに比べて、リートの安定性が好感されているようです。とりわけ、日本は金利上昇圧力が少ないので、安心感が広がっているようです。

ところでJリート投資において、分配金利回りは投資家にとってイメージが湧きやすいものだと思います。

半期に一度の分配金が2,500円(年間5,000円)で投資口価格が100,000円であれば、(5,000÷100,000)×100=5(%)が分配金利回りとなります。この分配金利回りは、取引所での取引価格が時々刻々と変わることから、利回りは毎営業日変動することになります。

また、不動産投資にはNOI利回りという考え方があります。

NOI(ネット・オペレーティング・インカム)とは不動産の賃料収入などで得られる収益から、不動産管理運営にかかる費用や空室による損失を引いた純営業収益のことをいい、実質的な収益をあらわしています。

NOI利回りは、NOIを物件の取得価格(原価)で割ることで求められ、投下資本に対する収益の割合をより具体的にあらわしています。NOI利回りが高いほど収益性が高いということになります。

NOI利回りについては考慮すべき点があると思います。

まず、利回り計算の分母である取得価格はあくまでも原価であって時価ではないという点。不動産市況が悪いときに買えば取得価格は安くなり、高いときはその逆になります。

NOI利回りが同じでも、時価換算で物件に評価損が発生している場合もあれば、評価益が発生している場合もあります。

また、物件の立地や建物の価値による変動です。

同じ時期に買ってNOI利回りが同じであっても、後で人気が出た物件であれば、評価益が発生しますし、人気が無い物件であれば評価損が発生します。

このあたりも考慮しながら取引所で個別のJリートの価格が決まってきます。

これらの実態を無視することはできませんが、仮定条件として、取得価格(原価)から評価損益が発生していないとすれば、分配金利回りがNOI利回りを上回っている度合いが大きいほど、市場で割安に放置されている銘柄だといえるでしょう。

参考までに分配金利回りを(A)、NOI利回りを(B)として、(A)-(B)の大きい順にJリートの銘柄を並べてみたのが以下の表です。

20190129reit.jpg


(A)-(B)が大きく、しかも評価益が大きければより割安であると考えられます。前提条件として、不動産の鑑定評価がすべて適正かつあまりブレがないこと。

その他にもさまざまな投資判断指標がありますので、これはあくまで切り口の一つではあります。

ご参考程度。

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