日経平均とTOPIXを見るとき考慮すべき点

過去からの株価推移を比べるときに使われる代表的な指数といえば日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)でしょう。
ところで、日経平均とTOPIXは対象銘柄や算出方法に大きな違いがあり、その特徴を把握しておくことは投資判断にあたって有用であると思います。
日経平均株価
日経平均はご存知のとおり、日本を代表するような225の上場会社の株価から算出されます。
算出方法は極めて簡単。
単純化するために225社ではなく2社で算出されていると仮定します。
株価2,000円のA会社と1,000円のB会社があれば、(2,000+1,000)÷2=1,500円が算出された平均株価となります。
問題になるのは、会社には栄枯盛衰があり、銘柄の入れ替えがあるということ。
B会社が例えば上場廃止した場合、新たに銘柄を追加する必要があります。
株価10,000円のC会社を追加すると(2,000+10,000)÷2=6,000円が平均株価となってしまい、一気に平均株価が4倍になってしまい連続性が断ち切られてしまいます。
そこで、連続性を保つために使用されるのが「除数」という概念です。
本来あるべき1,500円に戻すための数値です。6,000÷1,500=4が除数となります。
A会社の株価1,000÷4=250
B会社の株価10,000÷4=2,500
(250円+2,500)÷2=1,500円と見事に同じ連続性は保たれることとなります。
ところで、日経平均の根本的な問題として、指数に与える影響が株価の高低によって大きく異なる点が挙げられます。
極論ですが、上記でA会社の株価が0円になっても平均株価は1,250円ですが、B会社の株価が0円になれば平均株価は125円になってしまいます。
指数に大きな影響を与える銘柄についてはこちらをご覧ください。
その他にも入れ替える銘柄と時代の流れとの相関の問題があります。
2000年あたりのITバブルの際、ソフトバンクなどのIT企業が225銘柄に採用された後、ITバブルが崩壊したため、IT産業以外の株価実態とかい離した指数の大幅下落に見舞われました。
日経平均はこのような問題を内包したものとして捉えておく必要がありそうです。
TOPIX
話変わってTOPIX。日経平均ほどではないにせよ、広く使用されているのがTOPIX(東証株価指数)でしょう。
日経平均株価が日本を代表する225銘柄の株価で算出されるのに対し、TOPIXは東証1部上場企業全銘柄によって算出されます。
また、日経平均は株価のみを基準に算出されるのに対し、TOPIXは時価総額(株価×株数)で算出されます。
1968年1月4日の東証一部全銘柄の時価総額(約23兆円)を基準として、今どの程度になっているかを示しているのがTOPIXです。
個々の会社の株価ではなく時価総額で算出されるわけですから、日経平均が株価の高い、いわゆる値嵩株の影響を大きく受けるのに対し、TOPIXでは時価総額の大きな会社の株価変動の影響が大きくなります。
ところで、疑問に思えるのは全銘柄が対象という点。時代が変われば、上場企業の数は変わっていきます。
当然、今は1968年よりも多くなっています。
それでは指数の連続性の観点からは問題になってしまうので、銘柄数の増減があった場合などは1968年の基準時価総額を修正し、その連続性を保つようにしています。
同じ株価の指標とはいえ、ずいぶんと考え方は違います。一長一短がありますが、その特徴を踏まえておくと、株価動向を多面的に分析できるのではないかと思います。
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