投信をどこで買えば?R&Iの金融機関評価

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長らく日本の投資信託販売は証券会社などの販売会社の手数料稼ぎに大いに利用されてきました。

少し儲かればすぐに他の投信に乗り換えさせる。そんな販売手法で顧客を食い物にして、払わなくてもいい手数料を顧客に払わせるような売買が横行していました。

いまでも少なからずあるのではないかと思います。

そういった販売手法については従来から問題視はされてきましたが、問題を根本から解決するような手段はとられずにある種放置されてきたのが実態かと思います。

とりわけ人のいい高齢者をカモにするケースが後を絶ちませんでしたが、個別案件で処理していく他ないというのが本当のところだったのではないでしょうか。

しかし、近年、そのような状況も少しずつ改善されつつあるようです。

インターネット販売の浸透により、顧客本位の営業をしなければ、営業マンなど通さず、ネット取引に移行すればいいだけの話。

そのほうが手数料も安く、顧客にとって利便性も高くなります。

ネット取引との競争に勝つには、顧客に寄り添ったサービスが必須でしょう。具体的には顧客ごとの資産状況にあったアドバイス、独自の分析、人間的なサービスといったところでしょうか。

ところで、昨年の12月からR&I(格付投資情報センター)が投資信託の販売会社を顧客本位であるかどうかを評価する「R&I顧客本位の投信販売会社評価」を開始しました。

R&Iが金融機関の販売動向を分析したり、販売担当者にヒアリングしたりして販売姿勢を評価します。

販売目標や人事評価が手数料重視であったり、証券会社の系列運用会社の商品ばかり扱っていたり、手数料の高い商品ばかり販売していたりすれば評価が下がることになります。

評価基準は以下のとおりとなっています。(R&Iウェブサイトより)

SS 顧客の最善の利益を図るための取組みが十分に行われており、非常に多くの優れた要素がある。
S 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われており、多くの優れた要素がある。
A 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われており、優れた要素がある。
B 顧客の最善の利益を図るための取組みが行われているが、改善すべき要素がある。
C 顧客の最善の利益を図るための取組みが不十分であり、改善すべき要素が多い。

(注)S とA については、上位評価に近いものにプラスの表示をし、それぞれS+、A+と
表示することがあります。プラスも符号の一部です。




2018年12月17日に16社の評価が第一陣として発表されました。

16社の評価はSかAのどちらかのみで、金融機関選びの参考になるかどうかは疑問です。

なにより骨抜きだと思えるのは、評価を受けるためには金融機関からR&Iに依頼をする必要があるということ。

当然、お金を支払っているだろうし、ある種評価を買っていると思われても不思議ではないでしょう。

評価依頼をしない金融機関はやましいところがあるから依頼をしないのでは?という見方が広がるでしょうから、ある種R&Iによる金儲けの一貫ではないかとも思えてしまいます。

顧客本位の営業をしていても、規模が小さい金融機関はコスト面から依頼ができない場合もあるでしょう。

資本力のある金融機関と評価会社の利害が一致したというところでしょうか。

例外なく、すべての金融機関を評価するための指標を導入したほうが良いと思います。評価基準を明確にし、保有データや売買データなどをAIなりで分析すれば低コストで実現できるはずです。

KPI(Key Performance Indicator)も現状公表は任意ですし、共通KPIを公表している会社は数十社にとどまっており、他社はKPIの基準もバラバラでそもそも同じ土俵で比較できません。(KPIについては改めて考えてみたいと思います。)

R&Iの取り組みは一定程度評価できるとは思いますが、胡散臭さもまた感じてしまうのでした。

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