トヨタ、おまえもか(イギリスからの撤退検討)

先日、ホンダがイギリスからの撤退を表明したばかり。続いてトヨタも、イギリスがEUから合意なき離脱をした場合、2023年以降にイギリスから撤退する可能性を示唆したとのことです。
理由はホンダと同じ。イギリスがEUから離脱することでEUとの貿易に10%の関税がかかり採算悪化が避けられないからです。
トヨタはイギリスで約3,200名を雇用しており、2017年には追加の設備投資をしたばかりです。新設備では今年1月からヨーロッパで発売したクルマ(カローラ)を製造しはじめたばかりで、今即、撤退とはいかない模様です。次期モデルチェンジの2023年が一つの契機となるというわけです。
イギリスでは自動車産業に従事している人が約90万人。輸出額は約6兆5千億円となっています。
これらの人たちにとって、EU離脱は雇用不安を呼び起こすこととなりました。移民による雇用不安か、関税による雇用不安か、という究極の選択となっているわけです。
ちなみに日本の自動車産業従事者は約550万人。輸出額は約15兆円ほどとなっています。雇用者数に比べて、輸出額が小さいのは日本の市場が大きいこと、また日本メーカーであっても海外生産が増加していることが理由として考えられます。
いずれにせよ、いかに日本が自動車産業に支えられているかがわかります。
(参考)国別自動車生産台数の比率(2017年)

世界の生産台数は概ね1年1億台程度です。その中でも中国が断トツであることに驚かされました。海外メーカーの現地生産はともかくとして、中国産の自動車って品質は大丈夫なのでしょうか?
最近急速にその技術も進歩し、欧米日の水準に近づいてきているようです。ただ、日本で普及することはないでしょう。韓国の現代自動車ですら日本から撤退しました。日本人があえて中国車を買うことはありえないと思います。
ところで今回の一件で思い出されたのが、リーマンショック後のF1からの撤退時期です。ホンダはいち早く2008年限りでF1から撤退しました。その後、1年遅れでトヨタもF1から撤退。
単なる偶然かもしれませんが、規模が小さい分、意思決定はホンダのほうが早いということでしょうか。また、ホンダにはより多くのベンチャースピリットが残っているということかもしれません。
【関連記事】 ホンダ、イギリスからの撤退。F1はどうなる?
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