実態不明のダークプール取引に調査のメス

名前からして怪しげではあります。「ダークプール取引」。
ダークプール取引は顧客の注文を取引所へつなげるのではなく、顧客の売り買いの注文を証券会社内であらかじめ突き合わせて、マッチングしたうえで取引所の立会外市場で約定させるという仕組みです。
システム開発が行われた2000年代前半から機関投資家用に始まりました。東京証券取引所の推定ではダークプール取引のシェアは5%ほどということです。
そして近年、機関投資家に加えて、個人投資家もダークプール取引を利用できるようになってきました。
ダークプール取引では価格の刻みを取引所よりも小さくできるため、取引所の立会取引よりも有利な価格で取引が可能といわれています。500円で買うべきところを499円50銭で買えるといった感じです。
差額は小さいですが、取引回数の多いデイトレーダーにとってはちりも積もれば山ということになり、魅力があるというわけです。松井証券やSBI証券などがサービスを提供しています。
またダークプール取引で得られた差額を顧客と折半して、売買委託手数料をゼロにするといったスマートプラスといった証券会社も現れています。(今は証券会社でも必ずしも証券の文字を入れなくても良いようです。)
SBI証券では大証の日経平均先物やオプション取引の約2割がダークプール取引となっており、そのうち、約1割が取引所より有利になっているとのことです。
2割×1割ですから、約2%。たいした比率じゃありませんが・・・。
金融庁が注目しているのは、ダークプール取引が顧客にとって本当に有利な取引となっているかどうか。適切な情報開示がなされていないため、疑念を生じさせています。そして、アメリカや欧州、香港などではダークプール取引について既に規制が導入されています。
真に顧客のためになっていなければ大問題ですので、金融庁にはしっかりと調査してもらいたいものです。
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