強気と弱気が交錯するJリート市場の行方は・・・

ビル



都心のオフィスビルの空室率は2%以下とその需要は好調を維持しています。賃料もここ5年程度は右肩上がりを続けてきました。異次元金融緩和がその好調を支えてきたことは間違いありません。

しかし、ここに来て不動産市場の今後について、弱気の見方も出始めており、市場では強気と弱気が交錯する様相を呈してきました。

2020年の都心のオフィス供給量は2000年以降、もっとも供給の多かった2003年に次ぐ規模になります。それでも、そのうち6~7割程度は入居が内定済みであり、大規模な供給も消化可能で、空室率はそんなに上がらないだろうという見方があります。

しかし一方で、世界経済の減退、消費税増税にともなう景気悪化などを要因とした弱気な見方も広まりつつあります。

東京都によれば、都心部で働く人は2020年以降、減少すると見込まれるそうです。労働者が減って、オフィス面積が増えれば素直に考えて空室率が増加し、賃料も下がる、物件価格も下がると考えるのが妥当でしょう。

先日、さくら総合リート投資法人から資産運用報告が届きました。その中に、さくら不動産投資顧問の運用部長へのインタビューが掲載されていました。

業界動向、不動産市況に対しては、

・現状、不動産取引市場の状況として、すべてのセクターで過熱状況が継続していること

・東京23区はもちろん、首都圏においても同様で、キャップレート※の低下が強まっていること

(※キャップレート・・・キャップレートは不動産が生み出すNOI(賃貸収入から管理費や固定資産税などの諸経費を引いた純粋な収益)を不動産価格で割って算出する。)

・過熱感は当面続くと予測するが、今後3年から5年という時間軸では金融政策による金利動向により調整局面も予想されること

といった見方をしているようです。

キャップレートが下がる要因は、賃料が下がるか、不動産価格が上昇するかしかありません。現在、賃料は上昇傾向なのですから、賃料の上昇以上のスピードで物件の価格が上がっているということでしょう。金融緩和がもたらしているミニバブルといえなくもありません。

現状、Jリートへの投資については、数年単位の大きな時間分散が必要な時期であると思います。

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