ドイツ銀行経営危機?いったい何が起こっているのか

経営危機説が絶えなかったドイツ銀行がついにコメルツ銀行と合併協議を開始しました。
ドイツ銀行は2017年まで3期連続の最終赤字に陥っていました。両行の合併はドイツ政府が強く後押しした結果であると見られています。
ドイツ銀行は10万人もの従業員を抱え、総資産は約170兆円。コメルツ銀行の総資産は約70兆円でドイツ銀行の規模が大きいのですが、事実上、コメルツ銀行による救済合併協議ということになります。ちなみに三菱UFJグループの総資産は約300兆円です。
しかし、いったいドイツ銀行に何が起こっていた(いる)のでしょうか。時系列にまとめてみました。
| 金利の不正操作による巨額の制裁負担
ドイツ銀行はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を不正に操作したとして、金融当局に2,800億円もの制裁金を支払いました。また不正操作によって被害を受けた世界各国の企業から訴えられ、訴訟費用や訴訟に負けた場合の賠償金などの引当により巨額の損失を抱えることになりました。
| マネーロンダリングへの関与
「パナマ文書」の情報によって発覚されたといわれるドイツ銀行のマネーロンダリングへの関与。その罰金はゆうに1,000億円を超える規模に及んでいます。
| デリバティブによる巨額損失疑惑
ドイツ銀行は7,500兆円ともいわれる超巨額のデリバティブ取引の残高を抱えています。日本の国家予算が100兆円ほどですから、いかに巨額かわかろうかというものです。デリバティブと直接関係があるかはわかりませんが、アメリカのドイツ銀行子会社はストレステスト(金融市場での不測の事態が生じた場合にそれに耐えられる財務力や健全性があるかのテスト)で不合格になってしまいました。
合併協議がもの別れになった場合には破綻の現実性が高まってきます。その衝撃はリーマンショックを上回る可能性もあります。
消費税に関する安倍首相の発言はドイツ銀行を意識したものだったかもしれません。とにかくうまく協議が進んでくれると良いのですが・・・。
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