長短金利差逆転。アメリカ景気は1年以内に悪化の予兆

札束



いささか油断をしていたようです。このところアメリカの金利動向をチェックしていませんでした。ここ最近、10年もの国債の金利が急低下し、なんと3か月ものの金利をも下回ってしまいました。

これは異様な様相です。通常、期間が長ければ長いほど金利は高くなるのが普通。常識的に考えてもわかります。

銀行に預金を預けるのに、10年預けた方が、3か月預けるより金利が安い(もちろん10年のほうが利息のトータル金額は多くなりますが)としたら・・・。なぜ?って頭が混乱しますが、普通、3か月定期にするでしょう。

でも10年で預けるとしたらその合理性は何か?

3か月金利がこの先どんどん下がっていって、いずれは今の10年金利より下がるのだから、今のうちに10年で預けたほうが得だと考えることでしょう。

アメリカの債券市場では今まさにそのような事態が進展しています。今、10年もの国債を買っても、いずれ3か月国債の金利が下がると考えているのでしょうか。あるいは、今後景気が後退すると考え、金利が低下していくことを見越し、予め長期の国債を買っているのかもしれません。

短期金利は中央銀行が操作しやすいけれど、長期金利は市場の動きに委ねられる側面が強く、投資家は景気後退を見越しているともいえます。

トランプ大統領 VS FRB の構図ではトランプ大統領の圧力が勝り、FRBは今後、利下げを余儀なくされそうなので、近い将来、逆イールドは解消されるかもしれませんが。

10年もの国債と2年もの国債との比較

ところで、2年もの国債などの短期金利が10年もの国債を上回り、1年超たつと景気後退が起きるという経験則があると以前書きました。(こちらをご参照ください)

改めて確認してみるとなんと、昨年12月末に逆転現象が始まっていました。(3か月気付かなかったのは不覚です。)

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こうなると今後1年程度で景気後退となる可能性が高まったといえます。株価は景気動向を先取りしますから、春から夏にかけてアメリカ株は調整に入る可能性が大きそうです。

大統領選への影響

なんとも悩ましいのは、来年秋に大統領選挙があるということ。トランプ大統領が再選するためには、なんとしても景気の大幅悪化、株価の暴落は避けなければなりません。

1992年、湾岸戦争であれほど大きな支持を得ていた、(パパ)ブッシュ大統領が再選できなかったは景気の悪化が要因といわれています。それほど景気動向は選挙に影響を与えるということでしょう。

総合的に考えて、今年の半ばから来年にかけては、株価の小幅調整があるのではというのが小生の推測です。日本株も大きな影響を受けることは間違いありません。

【関連記事】
・米景気後退の前兆が債券利回りに表れつつある
・アメリカの金利動向から来年の景気動向を推測
・アメリカ景気後退の前兆に要注意(上記の「こちら」と同じ)

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