スズキ、不正検査で顧客、株主を大いに裏切る

自動車



スズキ(7269)の株価がいまいちぱっとしなかったのはインドでの販売伸び悩みだけではなかったらしい。

2016年5月に燃費測定方法の不正が見つかったが、それほど悪質なものではなく、正しく測定すればむしろ燃費はもっと良いといった感じだったので、それほど気にはしていなかった。

むしろ、同時期に発覚した日産やスバルの長年にわたる無資格検査や排ガスの不正測定のほうが悪質であったという印象だった。

その後、スズキは2018年の夏に完成車検査の不正があったことを追加で国交省に報告。調査を続けており、4月12日にその調査結果が報告された。

その報告によれば、調査により新たに約2,500台の不適切事例が確認された。

そして、その事例がなかなかの悪質さなのだ。決められた手順で検査をせず、本来不合格とすべきものを合格としたり、ブレーキ検査で不合格とされたものを合格にして通してしまったり、検査員の資格がないのにかかわらず、印鑑を借りて検査をしたり・・・。

日産、スバルが無資格検査で糾弾されたときにスズキは無資格検査はないと報告していたにもかかわらず、裏でばれないように書類の差替えまでして隠していた。

また検査が通らないものを上司が指示して合格にしたというのだから組織的である。こうした実態は課長クラスまで知っていたという。小口株主とはいえ裏切られた心境だ。もっと裏切られたのは顧客だろう。

ブレーキなんて命がかかった最も重要な部品のはず。クルマが動かないだけなら事故は起こらないが、止まらないとなったら、自他ともに命の問題となる。恐くて乗れたもんじゃない。

誰が乗るのか知ったこっちゃないからどうでもいいとでもいうのだろうか、いやそれしか考えられない。他にどんな理由がある?

スズキはコスト削減がうまいことで知られるが、やっていいことと悪いことがある。要は信用問題だ。

フォルクスワーゲンほど手の込んだ仕業ではないのが唯一の救いだが、スズキにはその技術や能力もなかったと考えれば、結局のところ目くそ鼻くその世界であり失望させられる。コスト削減の前にまずやることがあったろう。

これらの不正にともない、スズキは200万台ものリコールを実施する。それにともなって、2019年3月期で800億円もの特別損失が発生する。

スズキの規模からすれば馬鹿にならない金額だ。また、再発防止のための設備に1,700億円を投じることとなる。これまた巨大な金額だ。少々ケチったために、そのつけが大きくなってしまった。

今は適正な検査をするため、生産スピードを2~5%落としているという。

さて、不正の責任は?

役員報酬の減額で責任を取るという。減額がどの程度なのかはっきりしないが、少なくとも半分くらいは減額してもらいたいもんだ。

株主代表訴訟という手もある。どのみち、保険に入っているだろうから痛くも痒くもないといったところだろうが、大株主か、時間にゆとりのある株主にはぜひ株主代表訴訟により責任を追及してもらいたい。

とにかく、顧客を裏切らない経営をしてもらうよう猛省を促したい。

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