銀行業界への逆風(外貨建保険販売)

超低金利下で、保険会社は円建ての貯蓄性保険の販売を休止しているケースが多くなっています。
本業での収益確保が難しくなっている中、保険窓販は銀行にとって、魅力ある収益基盤となっていました。
しかし、あまりの低金利で、円建て債券では預かった保険料の運用ができなくなってしまい、多くの保険会社は円建ての貯蓄性保険をやむなく販売休止としています。
でも、銀行としては手数料はほしい。となれば売れる商品を売るしかない。そうして最近売れ筋の保険商品は外貨建ての保険。
世界的に低金利とはいえ、海外債券ならばまだ利回りが取れます。
外貨建て保険の販売はここ最近5年で、販売金額が約4倍に増加しています。
でも当然の如く、外貨建てである以上、為替リスクがつきまといます。円高になれば損失が発生する可能性が高くなります。
販売増加にともなって、苦情も右肩上がりで約3倍に増加しました。苦情の主な内容は説明不十分。なかには元本割れの説明を受けていないというケースもあるようです。
販売が4倍になったのだから、苦情が3倍に収まっていればいいじゃないかと開き直れないのがお上に逆らえない金融機関の弱いところです。
そもそも、この外貨建て保険、さまざまな点で問題点が指摘されていました。
具体的には以下のような点です。
・「積立利率」という言葉が使われているが、定義がはっきりしていない。そして、積立利率を実質利回りと誤解しているケースがあり、利回りが実際より高く見えるような表示がある
・各種リスク、コスト等の記載が募集資料上、わかりにくい
上記のような指摘を受け、保険会社および銀行は以下の取り組み等を行うこととしました。
・積立利率、予定利率に関する説明の充実強化
・実質的な利回り表示による情報提供
このような取り組みのために保険会社は新たに募集補助資料などを作成して注意喚起や情報提供を図ることになります。
しかしながら、毎月分配型の投資信託を見ても明らかなように当局から目を付けられた商品を積極果敢に売り込むことは難しくなります。至極当然の結果として、今後の販売は細るものを考えられます。
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