中堅・中小・地場証券、利益相反回避で業績悪化

チェス



今や個人投資家の株式売買は8割以上がネット証券経由で行われています。手数料は安いし、いつでも発注できるし、当たりもしない余計なセールストークを聞かなくていいし、良いことばかりです。

投資信託は証券会社の手数料稼ぎのためのツールであり、従来、高齢者を中心に次々と新しい投資信託に乗り換えさせて、手数料を荒稼ぎするというのが、旧来型の証券会社のビジネスモデルの一つをなしていました。

「だまてん」などといって、顧客に無断で、顧客資産を売買してしまう無断売買なども横行しておりました。

会社(社員)の利益は顧客の不利益。まさしく「利益相反」そのものです。

こんな時代遅れのビジネスモデルが、現代のようなIT社会の中で通用するはずもなく、こういったビジネスモデルにより頼っていた中堅、中小、地場証券が徐々に苦境に立たされています。

業績動向

上場している準大手、中堅証券の2019年3月期の業績はほとんどが減益、一部は赤字に転落しそうです。

ある種、水商売的色彩が濃いので相場環境による部分もありますが、時代の変化による要因が年々高まっていると考えるのが普通です。

金融庁の顧客本位型営業推進の影響

金融庁は長年の懸案であった顧客にとって不利益な営業が跋扈している事態の是正に本気で取り組み始めています。

投資信託はなるべく長く保有してもらうことで、無駄なコストを省き、長期的な資産形成をする方向に大きく舵を切っています。切った張ったの博打的な投機から長期的な投資に徐々に潮目が移ってきています。

そんな中で、頻繁に売買を繰り返して手数料をむしり取るような営業手法が許されるはずがありません。

高齢化の影響

ネットに長けていない高齢の投資家が亡くなった場合、当然故人の有価証券は若い世代に相続されます。

しかし、相続人が東京などの都市圏にいる場合が多く、地方の地場証券などは相続資産が都市圏へ移ってしまい、預かり資産が減少していきます。

また、若い人はネットで取引したがりますので、対面型の証券会社から資産を引き上げ、ネット証券に移すことも多くなります。

税制改正などへ対応コスト

ここ10数年の間に、「特定口座」や「NISA口座」、「ジュニアNISA口座」などさまざまな口座種別が登場し、その仕組みが複雑化しています。

中小証券では、そのような複雑な仕組みに対応するシステム投資は相当な負担になります。対応しなければ顧客に逃げられるし、対応すればコストがかかるしと悩ましい問題が次々と出てきます。

さらなる競合の出現

ネット証券に加え、最近はスマホに特化した証券会社も登場しています。従来型の金融業ではないIT型の企業による金融への参入はさらなる競争の激化を生み出そうとしており、旧来型の対面営業は過去の遺物となりつつあります。

大手証券は?

大手証券は中小証券ほど、株や投信の手数料に依存しない体制を築きつつあります。M&A事業への参入やIPOの主幹事など収益構造が多様なため、相場に一喜一憂する必要のないビジネスモデルが構築されつつあります。

中堅、中小、地場証券との差はますます広がると考えられます。

生き残り策は・・・

やはり商売の基本である顧客本位の営業を愚直に続けるしかありません。よく勉強し、正直かつ親切、さまざまな知識で顧客を総合的にサポートできるような営業マンを育てなければ、自然淘汰されていくことは間違いありません。

そして、残された時間はそう多くはありません。

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