銀行業界への逆風(店舗の存在価値減少)

氷河



高度成長時代、銀行の店舗はお金を回す強力なポンプとなり、社会のみならず銀行そのものにも多くの収益をもたらしました。

ところが、今や技術や社会構造の変化により、銀行の店舗は価値の無いものになりつつあります。

来店客も減り、銀行の店舗は閑散としています。私が以前、お昼頃に大きく立派な銀行に行ったところ、なんとお客はゼロ。映画館のような豪華なソファーがガラーンとしていたことがありました。

それでも律儀な私は、呼ぶ順番を決める機械(なんと呼ぶのかわからない・・・)から紙を引っ張り出したのでした。無意味であることは内心わかりつつ首をかしげながら。

某メガバンクの来店客はこの10年で4割も減ったのだとか。

ところで、銀行の店舗が無価値になりつつあるのは、以下の要因だと考えられます。


・共働き夫婦の増加

夫婦ともども平日昼間は働いているので、そもそも銀行に行く時間がない。

・インターネットバンクの普及

インターネットバンキングが普及するまでは振込をするには銀行に行くしかありませんでしたが、いまや自宅にいながらいつでも振込ができます。しかも手数料は安く済みます。

・コンビニATMの普及

今や街のいたる所にあるコンビニにATMが設置されているのは当たり前。多くの銀行と提携しており、お金を下ろすのにわざわざ銀行に行く必要はなくなりました。

・キャッシュレス社会の進展

クレジットカード、電子マネー、スマホ決済などの普及で現金そのものの必要性が低下しました。消費増税でキャッシュレス決済時のポイント還元などが導入されればキャッシュレス化はますます進展するでしょう。

・起業時の設備投資資金が少額化

産業構造の変化によりIT産業が起業の中心となっており、重厚長大産業のような大規模な設備投資を必要としないため、資金需要が少なくなりました。当然お金を借りる必要性も薄れるので銀行に足を運ぶ必要もありません。


さて、それでは銀行はどうしたらいいのでしょうか。新機軸を求めてIT企業などと提携し、デジダル金融や電子決済などの分野への進出を考えているようです。

しかし、銀行が抱える高コスト構造から、このようなサービスだけではとてもマイナスを賄いきれないでしょう。銀行員の数は明らかに過多となっていると思います。

また、店舗の削減は銀行業界にとどまりません。証券業界の雄、野村証券でさえ、国内店舗を2割削減していく方針です。

ネット証券の台頭により店舗の重要性が低下していることや、顧客本位の営業が求められており、投資信託をむやみやたらと販売できなくなっていることや、投資信託から得られる手数料や信託報酬の値下げが相次いでいることから、収益基盤が悪化しているからだと考えられます。

野村証券は今後、リテール営業からホールセールやM&A業務など、収益の多角化をより一層進めなくてはならないでしょう。

いずれにせよ今後、銀行業界のリストラは避けられないものと考えられます。

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