政府までもが合成の誤謬の罠に嵌ってどうする!

バブル崩壊から、既に30年近くが過ぎ去ってしまいました。デフレが進行し、景気が悪化して雇用環境が厳しくなっていく中では、節約して貯蓄を増やす、とりわけ価値が相対的に増加する現金、預金を増やすというのは個々人や企業の行動としては極めて合理的な行動でありました。
一人ひとりが、個人としては正しい行動をしていても、総体としては誤った行動になってしまう、まさに合成の誤謬です。
しかし、個人や企業に責任を追及できるわけがありません。誰しも自分がかわいいものだし、また家族の生活も守っていかなくてはなりません。会社だって、需要が縮小していく中で、設備投資をしようとは思わないでしょう。
所得が減っていく中で、消費や設備投資に回せるお金が減るのはものの道理であり、さらに将来の不安にさいなまれる中では貯蓄をして、もしものときに備えようと考えるのは動物としての人間として自然な行動でしょう。
その結果、消費や設備投資は停滞し、景気はますます悪化して所得減少という負の連鎖に陥ってしまいました。
企業や個人が萎縮していく中で最後の消費者として期待されるのは国家です。国が公共投資などで積極的な財政拡大を行うことで、民間へ仕事を回し、負の連鎖を断ち切る呼び水となるというわけです。
下図は主要国におけるGDPに占める公共投資の割合です。

さらに下図は日本における公共事業の金額推移です。

(出所:社会実情データ図録)
グラフを見てわかることは、日本ではデフレが進行していく中で、国までもが民間と同じように節約して合成の誤謬に拍車をかけているということです。
アベノミクスが始動した2013年以降も財政支出は増えておらず、第2の矢は放たれていないことがよくわかります。
そのおかげで、実質賃金は上がらず、景気がいいといわれる割には全然実感の湧かない状態が長らく続いています。
アベノミクスで日本の経済は良くなったと思っていました。なにしろ、失業率は下がり、人手不足になっているのです。株価も民主党のときに比べ、倍くらいに上がっているのですから。
しかし、人手不足は単に団塊世代の引退による労働人口の急激な減少によるものであり、また株価の上昇は異次元金融緩和による円安による効果であったと考えるのが妥当だと思います。
要するに民間が萎縮しているときに国までも萎縮してどうするんだ?ってことです。
にわかに消費増税凍結、衆参ダブル選挙説が現実味をもって語られだしました。選挙で自民公明は消費増税に反対するわけにもいかず、野党がやんやの反対を唱えれば、自民党は議席を失うことになります。しかし、元民主党議員が反対するのは許せません。
なにしろ、民主党が与党のときに消費増税を自民党、公明党と合意して決めたのですから。もし、元民主党議員が消費税反対を唱えたら、偽善と欺瞞の塊だし、そんな人は選挙で叩き落としてやりましょう。そのような人がいればリストアップしたいと思います。
とにかく、自民党は議席を失うことがないよう選挙前の消費増税再延期決定は十分に考えられますし、一旦白紙に戻すのが正解だろうと思います。10連休明け、6月にかけて日本に大きな動きがありそうです。
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