MMT(現代貨幣理論)とは?その信憑性は・・・

米中貿易交渉不調の影響で株価下落と円高が進んでいます。恐怖指数も大幅上昇しており、株価下落の足音が聞こえてきました。
しかし、これは消費増税撤回のチャンス到来といったところ。逆にこのまま世界経済が景気後退していく中で、消費増税をやったら本当の自殺行為だといえるんじゃないでしょうか。
日本の財政問題が喧伝されますが、世界経済が混乱すると円が買われるのはまったく腑に落ちず、市場は日本の財政に問題がないことを知っているかのようです。
また、本当に財政破綻リスクがあるのなら、日本の国債金利が0%なんてことはありえないでしょう。
ところで、最近話題になっているMMT(モダン・マネタリー・セオリー)。日本語にすると現代貨幣理論ですが、どんなものかよく知らないので調べてみることにしました。
| 誰が考えたのか?
MMTの提唱者はニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授(1969年生まれ)。お美しい女性です(個人的感想です)。
その前はミズーリ州の大学で17年間教鞭を振るっていました。
2016年には、前大統領選の民主党予備選挙でヒラリー・クリントン氏と接戦を演じた、バーニー・サンダース氏の経済アドバイザーを務めました。
来年2020年にはMMTに関する著書が出版される予定ですので、日本でもすぐに訳されて出版されるでしょう。楽しみです。
| 注目を集めたきっかけは?
アメリカには法律で定められている債務上限があり、上限に達した場合、議会が債務上限の引き上げに応じなければ新たな借入ができなくなり、債務不履行(デフォルト)となる恐れがあります。
このような問題を抱える中、2019年1月に、民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員がMMTに支持を表明したためです。
日本では、現役の経済産業省官僚で評論家でもある中野剛志さんが先駆けとなって紹介されたようです。
| 具体的な内容は?
ポイントは、こうです。
・自国通貨を発行できる政府は、デフォルトすることはない。
・自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない。デフォルトするのは外貨建ての国債を発行している場合のみである。
・上記理由からアメリカや日本は、財政破綻の心配などせず、財政支出が可能である。ただし、財政支出を拡大したところで供給が需要に追いつかないとインフレになる。
ケルトン教授は日経新聞などのインタビューに応じており、そのやり取りからポイントを探ることが可能です。
・国が拡大財政政策を実行したとして、問題になるのは『その国の経済はその新しい支出のすべてを吸収するための資源や能力を持っているか』ということだ。需要増に供給が追いつかないなら、インフレの兆しがでるだろう。ただ、日本に現時点でインフレの懸念があるとは思わない。
・日本の『失われた20年』は、インフレを恐れすぎて財政支出を中途半端にしてきたから。
・財政が積極的すぎてインフレが生まれるなら、逆戻りして物価を抑制する必要がある。一つの方法は、財政法案にインフレ時の歳出抑制策を入れておくこと。
・税金が政府の収入を得る手段だとは考えていません。ドルを発行できる米国政府は、ドルを得るために課税しなくてもいい。税金の役割の一つは、政府が経済につぎ込むお金の総量を調整し、インフレを抑えることにあります。
・日銀による日本国債の保有割合は、全体の40%以上だ。長期金利が抑制され、国債増発がなかったかのような現象になる。財政赤字が問題ならインフレになるはずだ。債務のGDP比がよく問題視されるが、240%という数字に意味があると思わない。
などが主な主張です。
| その信憑性は?
こればかりははっきりと白黒をつけられません。しかし、ケルトン教授が注目したのが日本。
まさに日本はMMTを実践しており(結果的に)、日本がインフレに陥ることもなく、むしろデフレが継続し、自国通貨の価値が毀損することもなく、国債の金利は発行量が増えても上がることがないという点でまさに理論が正しいことを証明しているというわけです。
これは日本の財務省にとっては都合の悪い話です。財政破綻の不安をあおり、消費増税が直前に迫っているからです。
しかし、財務省もMMTが正しいかのごとき主張を過去に自ら行っており、その考えがダブルスタンダードだとわかります。国内では「危ない、危ない」と言いつつ、海外には「大丈夫、大丈夫」と言っていたのです。
具体的には2002年に、海外の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げた際に、財務省は格付け会社宛に、質問状を出しました。
その質問内容は、以下のとおりです。
「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。」
まさにMMTを地で行く質問であり、その当時はMMTという理論は無かったでしょうが、今となってはMMTは正しいと自ら宣言していたのと同義です。
学者や経済評論家、エコノミストの間でも肯定派と否定派がおり、今後も論争の的になることは間違いなしです。
個人的にはMMTは正しいと感じますが、まだまだ勉強の余地(そちらのほうが大きい)がありますので、継続ウォッチしていきたいと思います。
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