銀行業界への逆風(多種多様な送金方法の誕生)

平成はデフレに始まり、デフレに終わったといっても過言ではないでしょう。
平成生まれの若者も30歳を超えるまでになりました。物価上昇を知らない若者にとっては、まさに現金、預金こそが最も価値ある資産です。持てば持つほど価値が上がる、それが現預金というわけですから。
そして今の若者は何よりコストに厳しく、不要なものに出費はしません。
人とのつながりを重視する価値観があるため、スマホ代金にはお金を惜しみませんが、価値を感じないものにはお金を使わないのが今の若者です。
そんな若者にとって、理解しがたいものの一つに銀行の振込手数料があります。
10万円預けても年に10円しか金利がつかないのに、10万円振り込むのになぜ300円も500円も払わなければならないのでしょうか。まったく無駄なコストです。
そんな情勢を踏まえてか、金融庁は銀行以外の業者に、少額の送金に限定した送金サービスへの参入を促す規制緩和を検討しています。
| 規制緩和の対象
現状、送金サービスを行えるのは銀行等金融機関の他、100万円までの送金が可能な登録制の資金移動業者があります。
今回、金融庁が規制緩和案として検討しているのは、送金上限額を数万円程度にした少額限定の資金移動業者です。
規制緩和により、参入規制を緩和されるため、さまざまな事業者の参入が予想されます。当然、送金コストは劇的に下がるでしょう。
若者はそんなにお金を持っていないので、送金といっても数万円で収まるケースがほとんどだと思います。
既存の銀行にとっては、収益機会の減少につながることとなります。そのような動きを先取り、銀行も負けじとサービスを提供しています。
|Money Tap(住信SBIネット銀行)
住信SBIネット銀行は個人間の少額国内送金サービスを開始しています。
スマートフォン向けの送金アプリケーション「Money Tap」で個人間での送金を行える環境を構築しています。
「Money Tap」は、銀行口座番号の他に携帯電話番号やQRコードでの送金が可能で生体認証等と組み合わせ、利便性とセキュリティの両立を図っています。
今後、導入銀行も順次増加が見込まれています。電話番号などを用いて決済を行うスマートフォンアプリケーションは世界的な潮流となっています。
| Kyash(株式会社 Kyash)
Kyashもスマホアプリ「Kyash」を運営しています。飲み会の“割り勘”のような少額の個人間送金をより便利にするサービスです。
すでにアプリでの個人間送金を可能にしているサービスは複数存在していますが、Kyashは、Facebook、LINE、TwitterといったSNSの繋がりを利用して送金できます。
ユーザー登録して、アプリ上にKyash専用のバーチャルなVisaカードを発行し、これにクレジットカード・デビットカード・プリペイドカードを紐づけ、お金の引き落とし先としています。
紐づけたクレジットカードの与信枠を超えたり、デビットカードやプリペイドカードの利用可能額が不足する場合は送金することはできません。
Kyashはなんと手数料無料。スマホさえあれば24時間いつでも無料で送金することができます。それではKyashはどのように収益をあげているのでしょうか。
Kyashで受け取ったお金をバーチャルなVisaカードを使って買い物をすると、Kyashにカード決済手数料が支払われる仕組みです。
| Facebookで送金(楽天銀行)
楽天銀行には「Facebookで送金」というサービスがあります。
送金先の支店番号や口座番号を知らなくてもFacebookの友達であれば、かんたんに送金を行うことができます。送金先のFacebookアカウントに連携されている口座が楽天銀行である場合は手数料が無料です。
・・・便利かつ安価な送金ができるのであれば、銀行の窓口やATMを使って振込みをする人などいないでしょうし、インターネットバンクですら、危機感を覚えるのではないでしょうか。
懸念材料としては、さまざまなサービスが林立してガラパゴス化すること。LINEのように皆が同じサービスを利用しないと普及に弾みがつくとは思えない点です。
時代は変わる・・・。
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