過去に財政破綻で債務不履行(デフォルト)となった国は?

今、話題になっているMMT(現代貨幣理論)。
その理論のポイントは以下です。
・自国通貨を発行できる政府は、デフォルトすることはない。
・自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない。デフォルトするのは外貨建ての国債を発行している場合のみである。
(詳細についてはこちらをご覧ください。)
さて、世界の歴史の中では各国中央政府が債務不履行(デフォルト)をしたケースは少なくありません。近年でも複数の政府が債務不履行を起こしています。
それらの国は本当に上記の2点に該当していないのか?、検証してみたいと思います。それでは、最近の事例から遡っていきます。
| プエルトリコ
プエルトリコは、アメリカの東南に位置する人口400万人弱の小さな島国です。面積は鹿児島県と同じくらいです。
プエルトリコは少々特殊な国で、アメリカの保護領という立場で、いうなればアメリカの属国です。なによりも自国通貨を持たず、アメリカドルをそのまま使用しています。当然、貨幣を発行する権利はありません。
プエルトリコは多額の債券を発行していました。債券の保有者は主にアメリカの投資家でした。
観光産業が収入の中心であるプエルトリコは、2008年のリーマン・ショック後の景気悪化で税収が落ち込み、2015年にデフォルトに陥りました。債務額は約9兆円でした。
| ギリシャ
やたらと公務員が多く、年金をいっぱいもらう国といったらギリシャでしょう。人口は1,000万人強。
ギリシャは2001年にドラクマからユーロに移行しました。共通通貨ユーロに参加した以上、勝手に通貨を発行することはできません。また金融政策も自国で決めるわけにはいかなくなりました。
そんな中で、財政赤字が膨らんでいき、2015年6月にIMFから借りていた15億ユーロの負債を予定どおりに返済できなくなってしまいました。
| アルゼンチン
アルゼンチンの通貨単位はペソ。南米でブラジルに次ぐ国土を持ち、人口は約4,000万人です。
アルゼンチンは米ドル建ての債券を発行し、海外の投資家に売ってドル資金を調達していました。
2014年、アメリカのヘッジファンドが1度目の債務不履行となった債券を債権者から買い取って訴訟を起こし、ヘッジファンド側が勝訴しました。なお、アルゼンチンはこの前にも何度もデフォルトを繰り返すデフォルト常習国です。
| エクアドル
南米の国、エクアドル。人口は1,400万人くらいです。
エクアドルは独自通貨単位「スクレ」を持っていましたが、1999年のデフォルト後、独自通貨を捨て、プエルトリコ同様、米ドルが公用通貨となりました。
米ドル化した後も政治的な混乱が継続し、2008年に米ドル建て債券がデフォルトすることとなりました。
| ロシア
ロシアの通貨は「ルーブル」。1997年のアジア通貨危機がロシアにも伝播しました。
原油価格の下落を受け、経済状況が悪化し、政府の税収が減少するとともに、ルーブルも大きく下落しました。
ロシアから資本が流出していく中でルーブルを買い支えて価値を維持しようとしますが、手持ちの外貨準備が底をつき、やむなくIMFからドル資金を借りることになります。
それでも事態は好転せず、90日間、対外債務の支払停止をすることになってしまいました。
| その他
・1987年、ブラジルがドル建債務の不履行
・1982年 メキシコがドル建債務の不履行
| まとめ
それにしても南米諸国のデフォルトが多いという印象。
それはともかく、上記の事例を見る限り、MMTの理論は間違ってはいないようです。ただし、過去に例が無かったからといって、将来も無いとは断言はできませんが・・・・
しかし、普通に考えて、MMTの2つのポイントを満たせる国は、自国通貨建てでいくらお金を借りたところで、お金を刷って返せばいいので、デフォルトする可能性はないでしょう。
ただし、通貨の価値が毀損してインフレになる可能性はもちろん否定できません。
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