銀行業界の逆風(若者の就職人気離れ加速中)

夕日



銀行員の仕事がAIに取って代わられるといわれて久しくなります。

事実、以前見たNHKの番組で、カナダの銀行の窓口係の男性がAIによって仕事を奪われ、試行的に導入されたベーシックインカムのサンプラーとして、生計を立てていました。

ところが、ベーシックインカムもうまく機能せず、試行期間が前倒しで中止になり、その元銀行員の人は困り果て、デモなどを行っていたと記憶しています。

このような報道のせいもあり、若者の就職先希望の人気ランキングで銀行がつるべ落としのようにダウンしてしまいました。

若者の銀行への就職離れにはさまざまな要因があろうかとは思いますが、それらのうち、いくつか考えてみたいと思います。

 人工知能(AI)に取って代わられる恐怖

AIブームもひと段落で、ブームは去りつつあるとはいえ、AI自体が無くなるわけではありません。深く静かに、そして確実にその能力を高めていくでしょう。

AIブームの浸透により、「銀行では仕事が無くなってしまうのではないか」とか、「リストラにあうのではなかろうか」などと心配するのも無理ありません。

先日の報道によれば、あの三菱UFJ銀行ですら、180もの店舗の削減を計画しているそうです。これは当初の100店舗からさらに上ぶれした数字です。削減店舗の比率は全体の3割以上にも及びます。

またインターネットバンキングの普及が店舗の必要性の低下に拍車をかけてもいます。

当然、将来性のないそんな恐い業界に自ら突っ込んでいくわけはありませんから、銀行へ就職したいという若者は減少の一途をたどっています。

 収益の悪化による将来への不安

日本銀行の試算によれば10年後には6割の銀行が最終赤字になります。資金需要が先細りしていく中、貸し出しが減少し、それにともなう競争激化によって利ざやも縮小します。まさに縮小均衡路線まっしぐらといったところです。

信用金庫なども傾向は同様で、現状の経済状況が続けば、この先明るい展望を描くことはできません。

収益が減れば当然給料も減ります。将来、給料が増えない業界へ若者があえて入ってくるわけがありません。下手すれば、給料どころか職自体も無くなってしまいかねないわけですから。

もっとも、銀行は目先の収益が厳しいことから、採用を抑制しています。若者からの人気がなくなっても、採用を減らしているのですから、人材の劣化は急激には進まないものと思います。

今、銀行を志望する若者は本当にバンカーとしての使命に夢を感じているか(そんな人は少ないと思いますが)、世間知らずであるかのどちらかでしょう。

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