GDPデフレーターと自殺者数に相関はあるか?

日本はなかなかデフレから脱却することができません。
デフレ時にはリストラにあって会社を去らなければならなくなったり、そもそも働き口が無かったり、同じように働いていても給料が減ったりなどという悪影響が出てきます。
当然に経済的困窮に陥る人が増えることから自殺者が増えると一般的に言われています。
ところで、デフレの程度を表す指標としてGDPデフレーターがあります。GDPデフレーターは名目GDPと実質GDPがわかれば以下の算式で算出可能です。
・GDPデフレーター = 名目GDP / 実質GDP ×100
100を基準として、数値が大きいほどインフレ(需要が多くて供給が追い付かない好況状態)、数値が小さいほどデフレ(需要が少なくで供給能力が余ってしまう不況状態)といえます。
| GDPデフレーターと自殺者数の推移
1990年以降の名目GDPと実質GDPの推移から求められるGDPデフレーターと自殺者数の推移を表にまとめてみました。

1998年、日本の自殺者数は統計が残っている1897年以降で、初めて3万人を突破してしまいました。日々、100人近くの人が自ら命を絶ってしまうということです。
自殺は非日常的なことではありません。小生の同級生や先輩後輩などでも自殺してしまった人が複数います。事情はそれぞれですが。
それにしても1997年の後半にかけて鮮明に思い出される出来事があります。1997年9月、三洋証券が日本の金融機関で初めて、無担保コール市場で債務不履行を起こし倒産しました。
1997年11月には、四大証券の一角であった山一證券や都市銀行であった北海道拓殖銀行など巨大な金融機関が経営破綻し、世の中はデフレ不況に突っ込んでいくことになります。
これらのきっかけとしてよく説明されるのはアジア通貨危機です。しかし、もう一つ日本の国内問題がありました。それは1997年4月の消費増税(3%から5%)です。消費増税がその後長らく続くデフレ不況の引き金を引いたことは間違いがありません。
表を見て驚くのは、1998年から2013年までひたすらGDPデフレーターは前年を下回っていることです(表の黄色部分)。
「明日は今日より悪くなる」「来年は今年よりひどい年になる」といった状況が実に16年も続いたのです。日本人ながら日本人に同情したくなってしまいます。
その間、2012年、2013年を除き、自殺者数が3万人を下回ることはありませんでした(表のピンク色部分)。
まったくもって、政治家や役人、日本銀行は何をしていたんでしょうか。未必の故意による、あるいは不作為による間接殺人といったら言い過ぎでしょうか。
| 自殺者数が暗示する近未来のGDPデフレーター
上記の表を見る限り、自殺者数はGDPデフレーターの先行指標であるかのようです。
人間というのは、数字ではまだ現れていない世の中の雰囲気や気配というものを本能的に察知して行動するのだと思います。統計としての数字が後からついてくるのです。
それにしても安倍政権になってから自殺者数が顕著に減少しているのは、見事としかいいようがありません。昨今の実質賃金の下落など山積する課題も多いとはいえ、過去の体たらく政権よりはよほどましだといえます。
今後、また自殺者が増加するような暗い世の中に戻らないようにアベノミクスをもっともっと進めてもらいたいものです。もうあまり時間がありません。
最近、MMT(現代貨幣理論)が話題となっており、賛否両論が飛び交っています。(小生はMMTは正しいと思います。)
そして、リフレ派と呼ばれる人たちの立場が弱くなっていますが、金融政策だけでもやらないよりはやったほうが当然良いし、リフレ派が完全否定されるのも、それはそれでおかしいと感じてなりません。
マネタリーベースを増やせば、金利が下がって、円安にもなるし、多少なりともお金を借りて家を建てたり、設備投資をしようとする人も出てくるでしょう。
ただ、リフレ政策だけでは、100アクセルを吹かしても、50しか進まないというように効果は限定されます。赤字覚悟の大幅な財政出動がないとデフレからは脱却できないでしょう。
とにかく2019年あるいは2020年、自殺者数が再び増加するようなことがあれば、それはデフレ深刻化への回帰の先行指標であると考えて間違いないと思います。
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