実質GDPが年率2.2%増に上方修正(GDPのトリック)

5月20日に発表され、多くの人が奇怪に感じたであろう2019年1~3月期の実質GDPのプラス成長。年率換算では2.1%成長でした。
それがこのたび、さらに年率2.2%のプラス成長に上方修正されました。修正の要因は主に民間の設備投資。微減から微増に修正されています。
しかし、そもそも1次速報の2.1%成長が実におかしな数字のマジックによって達成されています。
米中貿易戦争で中国景気が悪化し、日本の上場企業の景況感も後退している中で奇妙と感じた人も多いはずです。
| GDP成長のトリック(1次速報ベース)
2019年1~3月期、消費支出も設備投資も公共投資も住宅投資もほぼ横ばいで増えておらず、景気は冷え込んでいる中で、特に輸出の落ち込みがひどくマイナス2.4%。
これでいったいなぜプラスになったのか。それは内需が弱いため、輸入がマイナス4.6%と輸出以上にさらに大きく落ち込んだからです。
どういうこと?
GDPを計算するにあたっては、輸出から輸入が引き算されて計算されるのです。
具体的には、
-2.4-(-4.6)=-2.4+4.6 = 2.3%
1~3月期のGDPの成長はほとんどすべて輸入の減少だけで説明できてしまいます。これが数字のトリックです。
輸出入がGDPの成長に貢献するのは、輸出が好調で輸入よりも伸びるからだと考えるのが普通だと思いますが、輸出が不調でそれ以上に輸入が不調だとプラス成長になってしまうとは・・・。
企業で例えればこんな感じです。
・去年は100億円売り上げて、そのうち80億円が原価だったから20億円の利益。
・今年は90億円売り上げて、そのうち71億円が原価だったから19億円の利益。
・売上も利益も減ったけど、-10%-(-11.25%)= 1.25%
1.25%成長したのでOK牧場!ってことです。
なんかおかしいですね。企業でいえば、粗利益率が良くなれば、売上げや利益が減っても成長したと喜んでいることになるということです。
イメージ湧かないですか?
じゃ、これでどうですか。
・今年は90円売り上げて、そのうち71円が原価だったから19円の利益。
-99.99%-(-99.99%)= 0%
ゼロ成長だけど我慢するか・・・。
ってこれじゃ社員に給料払えないし、即倒産だろー。でもゼロ成長って感じです。
結局、企業も国もデフレになると人を養うことができなくなってしまうのですね。
| もっとわかりやすく知りたい方へ
三橋貴明さんが出演されている三橋TVを見ていただければ、このあたりのことが非常にわかりやすく説明されています。
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