『財務省が日本を滅ぼす』(消費増税で税収ダウンの愚)

ドミノ



引き続き、三橋貴明著の「財務省が日本を滅ぼす」より考えさせられる重要なポイントをピックアップしていきたいと思います。

ところで思い出しましたが、三橋さんによれば、この本のタイトルは本当は「財務省が日本を滅ぼした」と過去形にしたかったとのこと。しかし、出版社の意向でそれはかなわなかったようです。

さて、時事通信の世論調査によれば、消費増税には5割超の人が反対しています。

もはや手遅れといった感もしないではありませんが、この世論を無視して参院選に突入すれば自民党は手痛いしっぺ返しを食らうことになるかもしれません。(いやなってほしい。)

ましてや、増税後に景気が後退すれば、次期衆院選で自民大敗もありえますが、情けないのは野党の存在感が無さすぎなこと。

野党第一党の立憲民主党などは女系天皇を容認する方針で、もはや日本の政党とは思えない愚かさ加減です。自民党に取って代われる政党がないのが、日本の悲劇です。

ところで、30年前の1989年に導入された消費税ですが、1%増税すると2.5兆円の税収アップが見込まれています。しかし、実際に消費税が導入されても、あるいは税率がアップされても、見込みどおりに税収が増えていないのが実態です。



 1989年の消費税導入


1989年といえば、バブル経済のまさに頂点でした。日経平均株価は4万円近くにもなり、日本は資産価格の高騰に沸きに沸いていました。

そのときでさえ、3%の消費税が導入された翌年の税収は5兆円のプラスにとどまりました。

バブル崩壊はさまざまな要因が複合的に絡んでいると思いますが、消費税もその戦犯の一つだと思います。そして、何よりバブル崩壊後の回復を妨げる重しとなっています。

 1997年、3%から5%へ税率アップ


1997年はデフレ本格化の引き金を引いた最悪の年となりました。2%の税率アップにもかかわらず、翌年の税収は増えるどころか、4兆円減ってしまいました。消費税のみを見れば4兆円ほどのプラスなのですが、他の税収が大幅に減ってしまいました。

消費増税による悪影響が金融、経済不安に拍車をかけ、法人税や所得税が減ってしまったのです。

バブルが崩壊している中で増税をすれば、デフレを加速させるだけなのに、自らデフレ不況の道を切り開くという愚策でした。

これ以降、日本は暗黒のデフレ時代に本格的に突入していきます。

 2014年、5%から8%へ税率アップ


2012年に悪夢の民主党政権が終わり、第二次安倍政権が発足しました。

2013年は日銀による異次元金融緩和が効を奏し、円安、株高と経済は息を吹き返しつつありました。

しかし、回復途上にあったのに、冷や水を浴びせるかのごとく、8%への税率アップ。2014年の税収は7兆円あまり増えましたが、消費税だけを見れば、5兆円ほどの増収にとどまっています。

せっかく回復しつつあった個人消費は尻つぼみとなり、2%のインフレ目標も達成できないまま、再びデフレへの道が拓かれることになってしまいました。

下のグラフは一世帯当たりの消費支出の金額推移です。

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(データ出所:総務省)

直近では2014年をピークに下落に転じており、まだ2014年のレベルにまで回復していません。この段階でさらに消費税アップをしたら・・・。小学生でもその結末はわかろうというものです。

それにしても見事な右肩下がり。世帯数の増加という要因もありますが、日本人は少しずつですが、確実に貧しくなっています。

一方で下記は日本の税収推移です。

20190614zeisyu.jpg
(データ出所:財務省)

アベノミクス以降、景気が若干持ち直したこともあり、税収は右肩上がり。

政府は太り、庶民はやせる、の構図です。

 既存メディアの報道姿勢


財務省には「財政研究会」なる記者クラブがあるそうです。

記者クラブは排他的かつ閉鎖的であり、海外メディアやフリージャーナリストは入ることができません。

ある種、仲良しクラブ的であり、財務省はその仲良しクラブの仲間にだけ、情報(財務省にとって都合のよい情報だが・・・)をばら撒くことになります。

また、財務省に都合の悪い記事を書くと、次から情報をもらえなくなってしまうので、大手マスメディアは財務省に忖度した記事を書くことになります。

三橋氏はかつてテレビで「日本国債は100%自国通貨建てであり、子会社の日銀が買い取れば政府の実質的な負債は消滅するため、財政破綻などありえない。」と発言したが、何度もカットされたそうです。

テレビ局も財務省に忖度しているのでしょう。動機は新聞と同じだと思います。

もういい加減、記者クラブなる制度は止めるべきときです。

日本には言論の自由、報道の自由があるはずですが、世界報道自由度ランキングは180か国中67位。G7では最下位と低迷しています。

お隣韓国は41位で、韓国をも下回る順位です。低迷の主たる理由はやはり記者クラブの存在です。

お仲間が集まって、政府の都合の良い情報だけを垂れ流すマスメディアはもはや不要といって過言ではないと思います。

つづく。

(本記事は三橋氏の著書を参考に、小生の見解や意見、調査を加えごちゃ混ぜになっております。あしからずご了承ください。)

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