中国経済は破綻するのか(MMTから考える)

パンダ



MMT(現代貨幣理論)は現在の日本が置かれている状況から日本を主体に考えられることが多いのが現状です。もちろん私たちが日本人であるからというのが最も大きな要因であることは間違いありません。

ところで、昨年来からの米中貿易戦争の影響により、中国経済が破綻するなどという論評が目立ってきているようです。破綻の定義が人によって違うのかもしれませんが、通常、国家の破綻といえば、中央政府の債務不履行を指すことは間違いありません。

では、中国政府は将来的に債務不履行を起こす可能性はあるのでしょうか?

MMTの考え方に沿って、その正否を考えてみたいというのが当記事の趣旨です。

さて、簡単に言ってしまえば、MMTの理論は下記の2つに集約できるかと思います。
(MMTの詳細はこちらをご覧ください。)

・自国通貨を発行できる政府は、デフォルトすることはない。

・自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない。デフォルトするのは外貨建ての国債を発行している場合のみである。

要するに以下の2つがわかれば、中国共産党政府が経済破綻するかどうかが把握できるはずなのです。
(MMTが正しいと仮定すればですが。)  

・中国は自国通貨を発行できるのか
・中国の債務は自国通貨建てなのか

ではこの2つについて、中国の現状はどうなっているのか見て行きたいと思います。

 中国は自国通貨を発行できるのか

ご存知のとおり、中国の通貨は「人民元」です。そして人民元は、中国共産党の支配下に置かれている中央銀行である中国人民銀行が発行していています。

当然、自国通貨ですから、中国は自らの意思で自国通貨を発行することが可能です。

 中国の債務は自国通貨建てなのか

中国の対外債務は一貫して右肩上がりで膨らんでおり、世界の潜在的脅威になりつつあります。中国政府の対外債務は約44兆元。ドルベースだと約6.3兆ドル。円ベースだと約700兆円といったところです。

金額的には中国経済の規模からすれば極端に多いというわけではなさそうです。(中国の統計はかなり当てになりませんが。)

しかし、MMTの考え方からすれば、重要となるのは金額の多寡ではなく、それが自国通貨建てであるかどうか。それが重要です。

昨年10月、中国政府は30億ドルのドル建て国債を発行しています。

その他、いろいろ調べてみましたが、中国政府が発行する国債の通貨建て別の比率が把握できません。

上記の起債がある以上、中国政府の債務には他国通貨建てのものが含まれることは確かですが、いろいろと調べる限り、元建ての起債による消化が多く、外貨建ての債券は少量にとどまるようです。

 推論まとめ

中国の経済規模からすれば、半年、1年などといった短いスパンで中国政府が財政破綻をする可能性はほぼ無しと考えます。

また、他国通貨建て債務があるといってもその比率は低く(正確にわからないのではっきりと言えないのですが・・・)、MMTの考え方からいっても、財政破綻のリスクはゼロではないとはいえ、極めて小さいのではないでしょうか。

米中貿易戦争で、アメリカへの輸出が減少する中、中国の外貨準備が減少しておりますが、元の価値を保つことさえできれば、他国通貨建て債務を履行できなくなってしまうリスクは少なく、またコントロール可能なレベルだと思います。

米中覇権戦争 残酷な未来透視図 世界を救う最後のトリデは日本だった! [ 三橋貴明 ]

価格:1,728円
(2019/6/16 22:23時点)




関連記事

コメント

非公開コメント