『財務省が日本を滅ぼす』(医療自由化のなれの果て)

国民1人あたりの医療費がもっとも高い国はアメリカです。1人あたり1年で約100万円で突出した世界一です(2015年)。ちなみに日本は約46万円でOECD加盟国では真ん中あたり、15位くらいの水準です。
ところで、アメリカは医療費が高いから寿命が長いかと思えばまったくそうでもなく・・・。むしろ、この2年間は平均寿命が短くなっているという先進国の中では特異な国です。
| アメリカの医療費高騰の原因
1980年代のレーガン大統領時代、アメリカは医療サービスの自由化を進めました。医療費は自由化され、同じ治療を受けても、病院によってその価格は異なります。
また、薬価規制もなく製薬会社が市場原理に基づいて自由に価格を設定しています。
健康や命にかかわる医療というサービスでは患者に選択の余地は小さく、また、極端に消費者と医療関係者に情報格差があります。
生命の危機が切迫していれば選択の余地も少なく、当然病院側が患者よりも優位な立場に立つため、医療サービスの価格は必然的に高騰しました。
| アメリカの健康保険
ご存知のとおり、アメリカは国民皆保険ではありません。アメリカにも公的保険がありますが、以下の2つに限定されています。
・メディケア:高齢者と重度障害者が対象
・メディケイド:低所得者層が対象
では上記以外の人はどうしているのでしょうか?健康保険に入りたければ民間会社の保険に入るしかありません。
そして、その保険料が無茶苦茶高いのです。平均で1人あたり年50万円以上となっており、4人家族なら200万円以上です。一家全員が健康保険に入るだけで200万円!!!
当然保険に入れない人も多いので、全額自己負担となり、自己破産をする人が多くなってしまいます。アメリカで自己破産する人の半分は医療費が原因だというのですから驚愕してしまいます。
医療費で自己破産って、少なくとも私は日本では聞いたことありません。
また、民間の保険会社は営利企業ですから、株主のために利益を出さなくてはなりません。保険契約者の利益とは相反するという問題が出てきます。
当然、保険会社はなるべく保険金を払いたくないという動機が働いてしまいます。
| 結論
なんでもかんでも規制緩和すればいいというものではないことは、アメリカの医療サービスを見れば明らかです。
バブル崩壊後、日本では「規制緩和=善」という構図が成り立っていると考えますが、緩和のみが善ではないと思います。
中には当然時代遅れで不合理な規制もあるでしょうが、必要とされる規制もあるはずです。「規制緩和」ではなく「規制改革」を行って、アメリカの二の舞に陥らないようにしてもらいたいものです。
(本記事は三橋氏の著書を参考に、小生の見解や意見、調査を加えごちゃ混ぜになっております。あしからずご了承ください。)
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