中国、海外での稼ぎの多くが行方不明でいずれ経常赤字へ

ドミノ



IMFの調査によれば、2018年の中国の対外純資産は2兆1千億ドル(約230兆円)で、世界3位です。

ちなみにトップは日本の3兆1千億ドル(約335兆円)、2位はドイツの2兆3千億ドル(約250兆円)となっています。

IMFの予測によれば、2022年に中国は経常収支が赤字になるといいます。以下のグラフは日本と中国の経常収支の動向です。

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(出所:世界経済のネタ帳)

経常収支赤字予測の要因はやはり米中貿易戦争による貿易収支の悪化です。それに加えて、旅行などのサービス収支の赤字の増加も要因とされています。

経常収支が赤字になれば、対外純資産が減っていくことになります。さて、今後の中国はどうなっていくのでしょうか。

そもそも経常収支とは何か

貿易収支に加え、サービス収支(旅行など)や所得収支(配当や利子の受け払い)などを加えたものが経常収支です。

経常収支の増減は通常、対外純資産の増減と同じになります。

中国の経常収支と対外純資産の推移

中国は貿易収支の黒字が大きく寄与し、2009年から2018年までの経常収支は約2兆ドルの黒字でした。輸出で外貨を稼ぎ、海外の資産を買って存在感を高めてきた10年間でした。

経常収支が2兆ドルの黒字ですから、対外純資産も2兆ドル増えているはずです。しかし、現実には7,400億ドルしか増えていません。

残りの1兆2千億ドル超はいったいどこへ行ったのでしょうか。

経常収支の黒字額≠対外純資産の純増額の理由は

なにかおかしなことが起きています。要因は2つ考えられるようです。

1.輸出代金の一部が海外へ消える

100万ドルの商品を海外へ輸出しても、なぜか銀行口座には100万ドル全額が振り込まれず、途中でどこかへ消えるというのです。

そして消えた金額が半端じゃないのです。正確な金額はわかりませんが、この10年で1兆ドルものお金が消え、海外のどこかに滞留していると考えられます。

2.旅行や出張資金の一部が海外へ消える

海外へ旅行や出張などで渡航した際に、現地で不動産などを買って隠し資産を作る動きが広がっているようです。

現に、日本でも土地やマンションが中国人に買われるケースが相次いでいますが、その実態は不明です。

海外に資産を持つ動機と中国人民元の今後

中国の人々は人民元の将来価値に不安を抱いているのでしょう。また、中国では個人で土地を所有することもできません。

マンションを買うといっても、日本とは違ってマンションの土地使用権を買うということになり、その使用期間は70年となっています。

国内資産の保有だけでは不安となった富裕層の資金が厳しい中国の資本規制の網をかいくぐり、海外に逃避しているものと考えられます。

今後、中国の経常収支がIMFの予測どおり、赤字になるようであれば、人民元の信認が揺らぐことから、ますます海外への資本逃避は進んでいくと思います。

中国政府はそのようなことが起こらないよう難しい舵取りが迫られています。

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