さくら総合リート投資法人から手紙が届いた

ビル



Jリート仲間から敵対的買収を仕掛けられているさくら総合リート投資法人から手紙が届きました。

内容は特に目新しいものでもなく、日付も6月吉日となっています。ひとことで言ってしまえば、「スターアジアの勧誘には乗らないでね」という内容。

いかにスターアジアよりもさくら総合のほうが優れているか、スターアジアの買収に正当性がないかをアピールする内容に終始しています。

手紙の中では、新しい戦略的パートナーとの連携を含んだ複数のオプションを検討しているとありますが、具体的に「投資法人みらい」の名前は出てきておりません。

スターアジアへ賛同したり、白紙委任状を出したりしないでほしいということだろうと思います。さて今後、私のところにも委任状提出依頼なんてものが着たりするのでしょうか。気になる・・・。

スターアジア側の動向

スターアジアのホームページを見ると、7月4日、5日と連続して今回の買収劇についてのお知らせが掲載されています。内容は双方とも似たようなものです。

(主な内容)

・さくら総合リート側が開催する投資主総会に関し、その開催差し止め請求を東京地方裁判所に提出したこと

・さくら総合リート側投資主総会の開催日は、スターアジア側トの投資主総会と同日の令和元年8 月30日であり、投資主に混乱を来たすのみならず、スターアジア側が関東財務局の許可を得て開催する投資主総会に参加する機会を奪うリスクをはらみ、法的にも問題があること

・具体的には同時期に、異なる議題が記載された、主催者の異なる2通の招集通知及び議決権行使書等が届き、投資主に混乱をもたらすこと


今後の動向の摩訶不思議

さて、スターアジア側によるさくら総合側の投資主総会の差し止め請求が通らなかった場合、投資主には上記のとおり、内容がまったく異なる2通の総会招集通知が来ることになります。

以前掲載したとおり、Jリートの投資主総会での議決の方法は株式会社と異なる(詳細はこちらをご覧ください)ため、以下のような摩訶不思議な現象が発生しかねません。

(例)

・スターアジア側の総会議決案への賛成20%、反対20%、棄権60%の場合、賛成が80%とみなされ議案可決

・一方でさくら総合側も上記と同じ状況だと、こちらも議案可決


まったく異なる内容の議決案が2つの異なる総会で両方とも可決されてしまう可能性があります。

こんな事態に陥った場合はどっちが優先されるのでしょうか?より賛成が多いほうが優先されるのか、可決したのだから同列に扱われ、決戦投票を再度行うのか?

まったくもって前代未聞ともいえる事案ではないでしょうか。法律もそこまで想定しているとは思えませんのでいったいどうなることやら予想もつきません。

さくら総合リート投資法人の主要投資主

投資主の比率を見ますと最高でも7.5%。投資主は数多く分散しており、委任状争奪合戦での勝敗を予想することは難しい。権利行使をしない投資主が多くなれば、両方の議案が可決されてしまう可能性が高くなります。

この戦いに絶対に勝利するならば、過半数の委任状を得るしかありません。それは双方にとってもたやすいことではないでしょう。

まずは8月30日に本当に2つの総会が開催されるのか、スターアジア側の差し止め請求の行方がポイントになります。

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個人的予想としては、スターアジア側が請求した、さくら総合側が開く8月30日の総会の差し止め請求は妥当であるから、差し止めになると予想します。

なぜなら、上記のような奇天烈な結果を招きかねないし、スターアジア側の主張するとおり、投資主にとっても混乱を招くのみであるからです。

同日に2つの議案で戦うというのが筋ではないでしょうか。早い者勝ちでの勝負というのもおかしいですし。

まとめれば以下のようになります。

・8月30日の総会は一本化されるのではないか
・一本化された上で、議案が2つ上程されるのではないか

そうすることで矛盾する議決結果を生まないようにすることができます。

(あくまで個人の見解です。)

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