仮想通貨が通貨としての機能を果たせない理由

仮想通貨



仮想通貨には興味がないので、値動きもチェックしていませんが、ひさしぶりにビットコインの価格を見ると、一頃に比べてだいぶ持ち直しているようでびっくりしました。

今年の安値から2倍以上になっていて案外堅調な動きです。いかに現在の金融マーケットに魅力的な商品がないかを象徴しているかのようです。

結局のところ、仮想通貨は時代のあだ花に終わるとは思うのですが、世界的な金融緩和により案外?生きながらえているという印象です。

ところで仮想通貨は最近「暗号資産」と呼ばれるようになったとか。通貨としての役割をほとんど担っていないので妥当な呼び方であろうと思います。

そもそも仮想通貨は、通貨として広く人々の間に流通するには致命的欠陥があります。それは金本位制が崩壊した構造的欠陥とほぼ同じです。

金本位制の終焉

中央銀行が通貨を発行するにあたり、一定の割合で金と交換することを保証するのが金本位制です。この金本位制ですが、1970年代後半に終焉を迎えました。

さまざまな理由があるのでしょうが、最も理解しやすいのは、金は少量しか採掘されないため、発掘された金の量以上に通貨を発行することができない点です。

人口が増え、また経済成長により経済活動が活発化すれば、必要となる通貨の量は加速度的に増加するのに、金の量がそれに追いつかないのです。

それでも無理に金本位制を続ければ、通貨(=金)の価値ばかりが高くなり、モノの価値は下がり続けます。モノがあふれているのにお金がないので買えなくなってしまいます。いわゆるデフレが進行してしまうのです。

そのため、金本位制は限界に達し、政府の信用を背景とした通貨に変更されることになりました。これにより、経済の循環がうまく機能し続けることができるようになったのです。

仮想通貨の行き着くところ

仮想通貨はいわば金本位制と同じです。コンピュータの計算によるマイニングによって、新たな仮想通貨が発行されていきますが、採掘すればするほど、残量が減っていき、やがて発掘できなくなります。

仮想通貨で経済活動を回そうとすれば、金本位制同様、通貨が足りなくなって経済活動に支障を来たし、モノがあふれてデフレに陥ることになります。

行き着く先は物々交換の世界です。そんな世界に戻れるはずがありません。

かといって、他の仮想通貨をどんどん作っていけば、種類が多すぎて流通性に欠け、決済機能の通貨として使用に耐えられません。しかも、仮想通貨は金とは違い、実体がなく、ひとたび信認を失えば、モノも形も残りません。

仮想通貨。いつの日にか「あの人は今」的な存在になるものと推測します。

仮想通貨バブル (日経プレミアシリーズ) [ 日本経済新聞社 ]

価格:918円
(2019/7/28 13:04時点)




関連記事

コメント

非公開コメント