中野剛志氏、竹中氏ら並み居る論客をぶった斬り

私たち庶民は長い間、とんでもなく誤った経済学や経済学者により練られた政策に振り回され続けていた可能性があります。
中野剛志さんの本を読むとそう納得させられるのです。目から鱗とはまさにこういうことをいうのかもしれません。
| 中野剛志さんについて
中野剛志さんは評論家でありながら、今も確か、現役の経済産業省の官僚であるはずです。(間違っていたら申し訳ありません。)
しかし、官僚らしからぬ歯に衣着せない発言で鋭く世の常識や経済学者などの識者の誤りを問い質すのです。
評論家の三橋貴明さんも中野さんは天才だと一目も二目も置いているようであり、三橋さんの発言の中にはよく、中野さんのパクリだけどね~、などというフレーズが出てくるのです。お二人はお友だちのようであります。
今回、取り上げるのは「仮想通貨」を通じた貨幣論。
そして、その生贄になっているのは、かの有名な竹中平蔵氏、アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏、そしてあまり有名ではないかもしれませんが、以前朝まで生テレビなどによく出ていた哲学者の東浩紀氏のお三方です。
もう、ぶった斬りです。
| 竹中平蔵氏(第一の被害者)
竹中氏は以前、ビットコインについて以下のコメントをしているそうです。
「通貨決済の手段としても、国や権威やお墨付きが無ければ安心できなかったのだけれども、新しい技術を駆使することによって、そうじゃなくてできるようになった。」
要するに仮想通貨は中央銀行などの中央集権的な権力から自由である点を評価しています。
これに対し、中野氏は仮想通貨が現在の通貨に取って代わることが無理である点を指摘し、竹中氏の誤りを指摘しています。
ビットコインには発行上限があるため、希少性が担保されています。しかし、この発行上限が通貨としての使用に耐えられない理由となるのです。
供給量に限界があるがゆえに、通貨として利用が拡大すれば、ビットコインの希少性が高まり、価値が上がります。
その裏返しとして、物価が下がることになります。つまりはデフレを引き起こします。
金本位制が崩壊したことと同じことが起こるというのです。要するにビットコインは金本位制と同じ構造なのです。そして、金本位制同様、欠陥のある制度であると切り捨てています。
まったくその通りであると納得せざるを得ません。
| スティーブ・ウォズニアック氏(第二の被害者)
ウォズニアック氏にいたっては、「ビットコインは、金や米ドルよりも優れている」と絶賛しているようです。
氏の見方によれば、金は採掘技術が進歩すれば、供給が増えて価値が下がってしまう、ましてや米ドルは中央集権的な権力が創造できるインチキの類であるというのです。
一方で、ビットコインは予測可能な有限性があり、金や米ドルよりも優れているというのです。
しかし、その有限性こそがデフレを引き起こすのであり、デフレから人々を救えるのは氏がインチキ呼ばわりした米ドルであり、氏はデフレについて理解していないと切り捨てています。
| 東浩紀氏(第三の被害者)
哲学者の東浩紀氏は仮想通貨NEMの不正流出について論じる中で、仮想通貨について以下のような見解を表明しています。
仮想通貨の技術はすばらしい。通貨は信頼によって成立している。従来の通貨においては、その信頼は各国の中央銀行が支えていた。ところが仮想通貨を生み出した「ブロックチェーン」という技術は、その信頼を匿名の計算機の集合で生み出してしまう。この仕組みを使えば、中央銀行のような権力に頼ることなくだれでも通貨が発行できる。これは画期的な技術で、たしかに社会のありかたを根底から変える可能性を秘めている。
ところが今回明らかになったのは、そのすばらしい技術を肝心の人間がうまく使えていないという、じつに残念な事実である。
この見解が明らかにおかしいのは、素人の私にもわかりました。だれもが仮想通貨を発行できるのであれば、仮想通貨そのものの価値は暴落してしまうでしょう。
金であれば暴落しても金そのものが残りますが、仮想通貨は暴落したら何も残りません。
中野氏は誰でも発行できる通貨など誰も欲しがらないし、デフレとは反対にハイパーインフレを引き起こすと指摘し、東氏はインフレについて理解していないと一刀両断しています。
(補足)
東浩紀氏は日本人を馬鹿にしたあいちトリエンナーレの企画アドバイザーを務めた人です。そんな人がまともなことを言うわけないとある種納得させられるのであります。
| 私見
明らかに中野氏の主張が正しいと思います。他のお三方は軽いタッチで論評しただけなのかもしれませんが、「神は細部に宿る」といいます。深い理解と洞察があれば、ちょっとしたコメントにもその片鱗が現れるというものでしょう。
そう考えると上記お三方は「残念!」といわざるを得ません。
(参考文献:奇跡の経済教室(中野剛志著))
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