リフレ派は結局財務省に利用され、緊縮財政と増税が加速

デフレは単なる貨幣現象である、と考えるのがリフレ派の特徴でしょう。そして貨幣の問題であるから貨幣の供給量を調節すれば、経済などどうにでもなると驕った考え方に感じるのは私だけではないはずです。
リフレ派学説の代表格
リフレ派学説の代表格といえばイエール大学名誉教授で内閣官房参与でもある浜田宏一教授、元日銀副総裁の岩田規久男氏などが代表格でしょう。経済評論家の上念司氏などもリフレ派に属するものと考えられます。
リフレ派の主張は極端に言ってしまえば、デフレは金が足りない状態なのだから、日銀が銀行の保有している国債を買いまくって、銀行に資金をばら撒けば金利が下がってデフレ脱却ができると考えるわけです。
異次元金融緩和による金利低下で、民間企業が設備投資を増加させたり、個人の住宅投資なども活発化して、デフレから脱却できるはずだというわけです。そういった意味では黒田日銀総裁もリフレ派の一人といってもいいかもしれません。
リフレ派の自信過剰とその失敗
リフレ派は明らかに金融政策の力を過信していました。そして、当初はうまく行ったのです。円安が進み、株価も高くなりました。
しかし、これが緊縮財政を進めたい財務省には好都合であったに違いありません。
「金融政策だけでデフレ脱却できるんだから、財政支出を抑えて、増税してもかまわないんですよね。」と言わんばかりに財務省主導で2014年4月に消費増税。公共事業費も横ばいでほとんど増やしませんでした。
そりゃ、そうでしょう。リフレ派が自信満々に「金ばら撒いて2年で2%のインフレ目標を達成する。」と豪語したんですから。
結果は無惨なものでした。いくら金利が低下しても設備投資や消費が増えるわけでもなく、インフレ目標は7年近く経っても達成されていません。
デフレマインドの中、民間はいくら金利が低くてもお金を借りてまで投資をしようとは思わないのです。民間人はそれほどバカじゃありません。バカにするなって感じです。
リフレ派のその後
日銀副総裁の岩田氏は2年で2%のインフレ目標を達成できなければ辞職すると言っていましたが、その約束も反故にし任期満了まで居座りました。
浜田氏は2016年から2017年にかけて、自らの主張が誤りであったとして考えを改めたと吐露しています。浜田氏は日本人でノーベル経済学賞にもっとも近いなどと言われていたのに、実際のところはそんな器ではなかったようです。
結局のところ、過信に満ちたリフレ派の行動は財務省の緊縮財政と増税路線を正当化するハメになったのです。
株価も下落気味で世界経済もおかしくなりつつあります。遅すぎの感はありますが、リフレ派による金融緩和に加えて、アベノミクス第二の矢を盛大に撃つ時が来たことは間違いありません。
敵は財務省にあり。
【関連記事】
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財務省はなぜデフレを好むのか
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