オリンピックが終わると景気後退するのか(各国の状況)

もっともらしく語られることの一つにオリンピック後は景気が悪くなるというものがあります。しかし、それって本当なのでしょうか。
世界経済減速、消費増税と株価を取り巻く環境が厳しい中、さらにオリンピック特需が無くなれば需要はますます減少し、デフレからの脱却が厳しくなるし、当然株価にも悪影響を与えることになるでしょう。
そこで、過去のオリンピック開催国における開催前後のGDPの推移を調べてみました。
オリンピックと景気の関係
オリンピックが終わると景気が悪くなるという論理はもっともらしく、また単純です。
オリンピックのためにインフラ整備をするためにその前は景気が高揚し、その後はインフラ需要が減少するため、景気後退するというわけです。
来年は東京オリンピック。そこで、その論理は本当なのか、過去の歴史を紐解いてみたいと思った次第なのです。
基準にしたのは、自国通貨建ての実質GDPです。名目であったり、ドルベースであったりすれば、また違った絵が見えてくるのかもしれません。
そして、オリンピックに関係なく世界経済は浮き沈みしますから、単に世界経済の影響による動きである場合もあるでしょう。また、株価の推移はGDPの推移とは必ずしもリンクしないため、株価がどう動くかも別問題となりますのでその辺は注意が必要です。
2016年 ブラジル(リオデジャネイロ)
オリンピック開催年にGDPが下がりました。筋書きどおりの動きとなっています。

2012年 イギリス(ロンドン)
オリンピックとはまったく関係なく、右肩上がりに成長しています。というかむしろ成長しています。

2008年 中国(北京)
これまたオリンピックとはまったく関係なく、右肩上がりに成長しています。

2004年 ギリシャ(アテネ)
オリンピック開催の翌年、景気が停滞していることがわかります。オリンピックの反動だと思われます。

2000年 オーストラリア(シドニー)
オリンピックとはほとんど関係なく、右肩上がりに成長しています。

1996年 アメリカ(アトランタ)
オリンピックとはまったく関係なく、右肩上がりに成長しています。

1992年 スペイン(バルセロナ)
オリンピック開催年にGDPが下がりました。筋書きどおりの動きです。

1988年 韓国(ソウル)
若干緩やかになったとはいえオリンピックとはほとんど関係なく、右肩上がりに成長しています。

1984年 アメリカ(ロサンゼルス)
オリンピック前年に成長が加速しましたが、オリンピック後も右肩上がりに成長しています。

考察
必ずしも論理どおりの動きとなるとは限らないようです。勝手な考察ですが、小さい国ほど、準備に大きな労力がかかりますし、その後の反動が大きくなる傾向があるように思えます。
さて、2020年以降の日本は?
日本はなんだかんだいっても世界3位のGDPを誇る大国ですし、オリンピックが景気に与える影響はそれほど多くないと思います。
むしろ、やはり消費増税とそれに伴うショック緩和策の効果、あるいは世界経済の動向によって大きく左右されるのであって、オリンピックはそれほど考慮に入れる必要はないというのが個人的感想です。

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