なぜ政治家は積極財政、財政拡大を推進しないのか?

ダム



今日(2019年9月3日)、日本でMMTを積極的に啓蒙している三橋貴明さんの新著が発売されるのです。そのお題は『国民を豊かにする令和の政策大転換』です。

一日くらい早く売ってないかと本屋を訪ねてみましたが、残念ながら陳列されておりませんでした。

その代わりといっては大変失礼ですが、(むしろ先鞭である)ランダル・レイ教授の『MMT現代貨幣理論入門』が並んでいました。こちら、かなり本格的な学術本ぽく、分厚くてお値段も3,000円以上するのです。ちなみにこちらも8月30日に発売となったばかりです。

三橋さんの本はわかりやすいので、私は三橋さんの本をまず選択したく、あらためて本屋さんを訪ねたいと思っています。



政治家が積極財政を口にしにくい理由


ところでMMTの考え方は特段新規性のある大発明ではありません。デフレ脱却のためには財政拡大しなくてはいけませんと言っているだけです。そして、自国通貨建ての債務は債務不履行となることはないから心配しなくても大丈夫だと・・・。

そして、財政規律は財政赤字の金額や比率ではなく、インフレ率で考えるといったところでしょうか。デフレから脱却できない日本は財政支出が足りないということになります。

しかし、これを政治家が大々的に発言していくには2つの壁があると思うのです。

第一の壁:経済の構造を理解すること


国家財政と個人の家計や民間企業の会計との根本的な違いを理解しなければなりません。その理解がないと、デフレにあえぐ日本経済のために何をなすべきか勘違いをしてしまいます。

合成の誤謬を正すのは政府しかなく、その方策は財政赤字を拡大して公共投資を積極的に行うことです。

そのことをまず理解しなければ、その主張をする動機も湧かないでしょう。もっとも、正しくないと信ずるならばそれを堂々と主張してもらいたいものです。

第二の壁:マスコミからの詮索、攻撃を覚悟すること


財政支出するとなれば当然何か具体的な対象先が出てきます。そして当然お金が動きます。マスコミは政治家とそのお金とのつながりを疑って詮索してくるでしょう。

詮索されると、他のボロが出てきたりするのでなるべくマスコミからは距離を置きたいというのが政治家の本音じゃないでしょうか。

また、勝手な癒着シナリオをマスコミが作り上げて、そのフェイクニュースをあたかも本当のように流す格好のネタにもなるでしょう。

フェイクニュースでもいったん流されてしまったニュースに弱いのは人間の性といいうものです。印象操作により票が減ってしまって落選したら、元も子もありません。

だからきれいごとを言っておいたほうが無難なのです。「無駄使いはやめろ。」「公務員の人件費下げろ。」「規制緩和で自由化だ、自由競争だ。」って言っていれば一見清廉な政治家に映るというわけです。

まずは理解をすることが第一の壁。理解したとしてもそれを実行した際の風評リスクが第二の壁。

ところで政府が炭素税の導入を検討しはじめたとか・・・。増税はデフレ圧力なのにいったいどこまで吸い上げようっていうのでしょうか。

2025年のプライマリーバランス黒字化のためには容赦なく、といったところでしょう。プライマリーバランス黒字化を目指せば目指すほど日本のGDPは停滞し、株価の停滞も継続することは間違いありません。

ランダル・レイ教授も来日予定


ステファニー・ケルトン教授に続き、MMT提唱者の一人、ランダル・レイ教授も来日するということです。

10月に国際シンポジウムが開かれる予定ということであり、さらにMMTの議論が白熱化していくことを期待するばかりです。

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