インド自動車市場、ドイツに抜かれ世界5位に転落・・・

人口10億人以上の新興市場、世界4位にまで上りつめたインドの自動車市場が昨年から急激に冷え込んでしまいました。
インド自動車市場の動向
2019年8月まで10か月連続で前年割れの状況が続いています。なんと、販売台数はドイツに抜き返されて第5位に転落(2019年1~6月)しました。
8月は前年同月比で33%減といいますから半端ではありません。2006年以降、最大の落ち込みとなっています。巨大なインド自動車市場の歯車を狂わせているのはいったい何なのでしょう。
政府の立て続けの政策変更失敗がその根底にあるようです。
自動車保険の負担増加
インドでは2018年9月、新車購入時に義務付けられる保険の加入期間が1年から3年に延ばされ、その負担は3倍に増加しました。1年ごとの金額は変わらなくても一時の出費が大きくなるため、負担感が増しています。
排ガス規制の厳格化とその解釈の誤解
インドでは2020年春から新たな排ガス規制が導入されます。そして、最高裁が新排ガス規制に適合しない自動車は販売禁止である旨の判決を出しました。
この判決を受け、現行車は販売だけでなく、使用することも禁止されるとの憶測が広がり、現行規制適応車が一気に売れなくなりました。
そりゃ、そうでしょう。買っても乗れないのであればタダの鉄くずです。しかし、これは誤解であり、新規制導入後であっても、現行車は引き続き利用可能です。政府はこれを積極的にアピールし、現行車の販売減少を防ごうとはしています。
中途半端なテコ入れ策
政府は自動車販売の落ち込みを防ぐため、そのテコ入れ策を実施しました。しかし、そのテコ入れ策がどうにも中途半端なのです。
自動車購入時の減税策が実施されたのですが、その対象となるのは電気自動車のみ。化石燃料車はその恩恵を被ることができませんでした。
そもそもインドにおける自動車購入時の課税はかなり厳しく、間接税が28%もかかります。SUV車は贅沢品とみなされるのか、SUVにいたってはさらに別の税金がかかり合計で50%にもなろうっていうのですから驚きです。
鈍感な政府の対応
業界からは減税要望が出されましたが、政府は無反応を決め込み何の対応もなし。
それどころか、化石燃料車に関してはさらに自動車登録費用を値上げするという愚挙に出ました。この辺は日本が消費増税を行うのとそっくりの対応です。
インド市場を主力とするスズキの状況
インド市場の落ち込みはスズキ(7269)に大きな影響を与えています。なにしろインド市場でスズキは50%の圧倒的シェアを誇る自動車メーカーなのです。
スズキは在庫車がはけないため、一時、工場の操業を休止しました。
インドの自動車市場の落ち込みの影響は国全体に及んでおり、インドのGDP実質成長率は1年以上減速しています。当然、スズキの株価にも大きく影響を与えており、その値動きは軟調です。

インド政府には早く有効な手立てを講じてもらい、成長軌道に戻してもらいたいものです。

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