生保販売に関する一般課程試験の難易度を向上すべき

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日本人は生命保険が大好きだといわれてきました。高度成長時代は経済的なゆとりもあり、生命保険に何本も入るような余裕もあったのでしょう。

生保レディのGNP(義理、人情、プレゼント)に押されてやむやむ契約した人も多かったであろうことも容易に想像できます。

ところで、最近特に外貨建ての生命保険に関し、苦情が急増しています。もちろん急増の背景には販売の急増があります。なにしろ、マイナス金利で円建ての商品だと採算が取れなくなってしまうので、やむなく販売を休止している商品が相当数に上っています。

また、外貨建て保険を売ると販売手数料がかなり高い。そして、どれだけの手数料が抜かれているかを知っている消費者がどれほどいるのか疑問です。私個人的には外貨建ての保険など絶対に契約したくありません。



生命保険協会が新たな資格の導入を検討


生命保険協会は苦情の増加を受けて外貨建て保険を販売するために新たな資格の創設の検討を始めました。

これ自体はよいことだと思うのですが、それ以前の問題として、生命保険販売に関する資格取得があまりに簡単すぎるという問題があると思えてならないのです。

新たな資格の前にやることがあるのではないでしょうか。

一般の生命保険募集資格


現状、一般の生命保険募集資格を保有していれば、リスクの大きな外貨建ての保険も販売することが可能です。

そして、その一般の生命保険募集の資格試験がほとんど形骸化されているとしか思えないのです。

その理由は以下のとおりです。
毎月1回行われていて、あまりに頻度が多すぎる。そのため、落ちたとしても、ろくに勉強する期間もなく、再度試験を受けられる。少なくとも3か月に1度とか半年に1度にして、受験者に危機感を持たせるべきだと思います。

試験問題は○×の選択や語句の選択問題が9割以上を占め、計算問題などはごくわずかしか入っておりません。極端な話、計算問題など白紙で出しても、合格できるレベルです。選択問題の選択肢を増やす、計算問題を増やすなどして、難易度を上げるべきだと思います。

なにしろ試験の合格率が80%以上というのですから、落ちるほうが難しい。外貨建ての新たな資格を作るよりも、一般課程の難易度を向上させることで対応するのが望ましいと思います。

そうなると、既に一般資格を持っている人との不公平が発生しますので、既に持っている人には、外貨建ての試験を受けてもらい、それに落ちたら、一般課程の資格を剥奪し、再度、新たな一般課程の試験を受けてもらえばいいと思います。

現状、変額保険の資格も別建てになっており、資格制度が複雑化していますので、それも無くして、一般課程に集約を図るほうが顧客保護の観点からも望ましいと思うのです。

なぜこんなにも資格取得が簡単なのか


生命保険は個人のライフプランを設計するうえで、特に大事な金融商品だといえるでしょう。それなのになんで、こんなに資格試験が簡単なのでしょうか。

憶測ですが、歴史的な要因があるのではと考えます。

大東亜戦争で多くの男性が戦死し、未亡人が大量に発生していまいました。それらの方々も生きていかなくてはなりません。そして多くの寡婦が生命保険を売って、生計を立てていたのです。

そういった背景があるので、試験をそんなに難しくすることはできなかったのだろうと思います。落とすための試験でなく、受からせるための試験だったのです。

しかし、時代は変わりました。金融サービスも税制も複雑に絡み合い、金融商品の販売には多くの知識が必要です。そして、間違った案内をしてしまえば、顧客に大迷惑がかかってしまうのです。

生保協会や金融庁は泥縄式の対策を図るのではなく、シンプルかつ時代に即した改善を行ってもらいたいと切にお願いしたいところです。

(補足)時代の変化に対応した更新試験の実施を


損害保険の資格は5年ごとに何度も試験を受けなおします。落ちれば資格がなくなってしまうのです。

生保も同様にしたらよいと思います。税制は毎年変わりますから、その時々にあった知識を勉強しつづけないと古い知識に基づく説明をしかねません。医者に30年前の知識で治療をされたらかなわないのと同じです。

複雑な商品を顧客の人生設計に合わせて提案し、販売していくのですから、安易な知識レベルで販売できるのは本当にマズイと思えてなりません。

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