かんぽ生命不正問題、中間報告公表。モラルハザードの実態が浮かび上がる

偏見を交えていえば保険販売にはどうも胡散臭さがつきまといます。その胡散臭さを見事に体現(皮肉)したのが、日本郵政グループ、かんぽ生命の保険を販売した日本郵便です。
件の不適切販売に関する中間報告がこのたび日本郵政グループから発表されました。
■ 調査の方法
かんぽ生命は15万人にもおよぶ顧客に電話をかけて実態調査を行っています。
電話をかけているのは外部委託先の業者です。電話をかけて実際に連絡がついたのは9万人弱。しかし、約2万人は調査に協力さえしてくれませんでした。
連絡がついた顧客から得られた情報の中で、不正行為は主に下記の2つに集約できるようです。
■ 解約できるのに解約させない
既存契約に加え、新たに保険契約をした場合、既存の契約は不要であればすぐに解約できるのに、半年間は解約できないと虚偽の説明をされたケースです。
どうしてそんなことをするのか?
営業評価にあたり、新規の契約をしても既存契約が半年以内に解約されると乗換え契約とみなされて、営業成績が半分になるというのです。
それを避けるために嘘をついて既存契約を継続させるのです。完全なる確信犯であり、顧客の利益など度外視した悪徳商売といわざるをえません。
■ 契約できるのに契約させない
上記とは逆パターンです。既存契約を解約した場合、本来、すぐに新しい保険に加入できるのに、加入させないというのです。
解約してから3か月以内に新規契約するとこれまた乗換えとみなされ、営業成績が半分になってしまうのです。
それを避けるために嘘をついて、3か月経過したあとに新たに契約してもらうのです。
■ 問題の根源はどこに?
日本郵便の職員も悪いことをしていることを知っていたはずです。そして、そんなことをやりたくはなかったと思うのです。
しかし、やらざると得なかった。その背景にあるのは過大なるノルマなのです。
プレッシャーの中で嘘をつき、顧客を犠牲にしてでも営業成績を上げざるを得なかった。いつかボロが出るのはわかっていたけれども、目先の数字に追われまくっていた姿が目に浮かぶようです。
経営陣の責任は重い。経営責任をとるべきことに疑いはありません。当然トップは辞任すべきでしょう。なにしろ保険だけではなく投資信託でも不適切な販売が多発していたのですから。
私が耳にする限り、日本郵政の経営陣が責任を取ったという話は聞きません。というか、経営陣は辞任を否定しているようです。まったくあきれかえるばかり。恥を知りなさいと三原じゅん子に渇を入れてもらいたい。
そして、間接的に責任があるのは小泉元首相ということになるのでしょう。なにしろ郵政民営化をあおりにあおったのですから。
それに乗っかった国民にも少なからず責任があると思います。そして私めもまたその一人なのです。
それにしても顧客本位の業務運営、達成への道のりは険しいといわざるを得ません。
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