NAV倍率と分配金利回りから考えるJリート市場の天井

Jリート市場が青天井と化してきました。Jリートでキャピタルゲインを得ようなどとは考えてもいなかったのに、評価益がアップ。うれしい悲鳴ですが、買うのにはためらう水準となりました。
さて、いったいどのあたりが天井となるのでしょうか?過去の経験則から目安を考えてみることにしました。
■ 分配金利回りから考える
過去、最もJリートの予想分配金利回りが下がったのは、リーマンショック前の2007年あたり。なんと、2.7%前後まで買われています。そして、現状の予想分配金利回りは3.5%弱。
いくら金利が下がろうと3%割れは危険水準でしょう。日銀の異次元緩和も買い取る国債が枯渇してきて、手が詰まりつつあります。
本来、大規模な国債発行で財政出動すべきですが、プライマリーバランス黒字化目標のためにそれもできません。マイナス金利深堀りは難しく、Jリートとのスプレッドが広がる余地は少なくなりました。
■ NAV倍率から考える
資産評価価格とのかい離という視点から考えるのに使える指標はNAV倍率です。
(NAV倍率)
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といいます。そして投資口価格を、投資口数1口あたりのNAVで割ったものがNAV倍率です。株式投資におけるPBRの概念に近いものです。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができます。
不動産の時価に基づく不動産投資法人の純資産価格をNAV(Net Asset Value)といいます。そして投資口価格を、投資口数1口あたりのNAVで割ったものがNAV倍率です。株式投資におけるPBRの概念に近いものです。NAV倍率が1倍を超えると不動産投信の実際の価値よりも市場での価格が高いと考えることができます。
過去を振り返れば、やはりリーマンショック前が一番高い。1.7倍くらいまで買われています。
長期的にみると概ね1.5倍を超えると天井圏といえそうです。
■ 推論
分配金利回り3%割れ、NAV倍率1.5倍超え、これが天井圏だと見ます。
さて、具体的に東証リート指数で考えてみることにします。(ざっくりですので悪しからず)
東証リート指数が現状2,200ポイントで、予想分配金利回り3.5%とし、これが3%まで下がると考えれば、リート指数は2,560ポイントくらいとなります。
そして、NAV倍率。しかし、現在の東証リート指数のNAV倍率を探しても見当たらない。どのように計算しているのだろうか?
この際、全銘柄の単純平均と、時価総額を加味した加重平均を両方計算してみました。
前者は1.2倍強で、後者は1.3倍弱。やはり時価総額の大きな銘柄が割高になっていることがわかります。
ざっくりと1.3倍と仮定しましょう。これが1.5倍までになると考えれば、リート指数は2,530ポイントあたりになります。
■ 結論
2つの指標から導かれた結果は、ざっくり2,500ポイント。上がってもあと1割が限界とみます。
順張り投資で下がったらすぐ売る覚悟がある人ならともかく、逆張り投資家が手を出すタイミングではないんじゃなかろうかと思います。
また、これはオフィス需要が堅調であるという予想が背景にありますから、不動産市況の動向によって、変化することはいうまでもありません。
そして、天井をつけた後どうなるか。リーマンショックのときのようなハードランディングとなるのか、高値圏をダラダラと推移していくのかは神のみぞ知るです。
庶民投資家としてはどちらに転んでも再起不能とならないようリスク管理を怠らないことが重要だと思います。
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